ボーイングの廃材利用も スティック型掃除機の競争激化

小型で扱いやすいスティック型掃除機の需要が高まっている。国内の掃除機出荷台数のうち約6割を占め、キャニスター型と呼ばれる従来の家庭用掃除機を上回る。各メーカーはリサイクルや低騒音を売りにした新製品を次々に発売するなどしのぎを削っている。

「これまでスティック型は軽量が重視されていたが、競争が激しくなるにつれ、さらなる特色が必要になってきた」と指摘するのはシャープの担当者。8月、騒音を従来機と比べて約36%低減した新製品を発表した。新型コロナウイルス禍で在宅時間が増えたことを受け、マンションなどで隣室の掃除の音が気になる場合などを想定して開発したという。

シャープの騒音を抑えたスティック型掃除機「ラクティブ エア」(同社提供)
シャープの騒音を抑えたスティック型掃除機「ラクティブ エア」(同社提供)

日本電機工業会の調べによると、国内掃除機市場でスティック型の出荷台数は平成24年度時点では全体の7%に満たなかった。だが、バッテリー性能の向上などでコードレスタイプのスティック型の実用性が高まるにつれて年々シェアを拡大。令和2年度にはキャニスター型を抜き、主流となった。3年度のスティック型の出荷台数は平成24年度の7・6倍の約275万台となっている。

スティック型ブームを引き起こした英ダイソンをはじめ、30年には米家電メーカーの「Shark(シャーク)」が日本市場に参入するなど、シェア争いは激しさを増している。そんな中、国内メーカーは既存製品にはない価値を付加することで差別化を図る。中でも環境に配慮した取り組みが活発だ。

三菱電機は7月に中型ジェット機「ボーイング787」の廃材を再利用した新製品を発売。三菱重工業と協業し、主翼を製造する過程で生じる炭素繊維複合材料の廃材を樹脂と混ぜて掃除機の持ち手やパイプ部分に使用した。

再生プラスチックを40%以上使用したスティック型掃除機(日立製作所提供)
再生プラスチックを40%以上使用したスティック型掃除機(日立製作所提供)

8月、廃棄された家電製品などのリサイクル素材を用いた新製品を発売したのは日立製作所。再生プラスチックを40%以上使用しているのに加えて、廃棄後を見据えて、見た目をよくするための塗装やブランドロゴの装飾をやめている。これらの装飾は、リサイクルするさいに異物となってしまうからで、同社の担当者は「製品の性能だけでなく、環境への配慮に特化することでお客さまに選んでもらえれば」と話している。(桑島浩任)

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