「生理」の教員研修、男性に知ってほしいのに5%

研修会では、男性教員が生理用品を手にして理解を深める姿も見られた=大阪市住吉区
研修会では、男性教員が生理用品を手にして理解を深める姿も見られた=大阪市住吉区

経済的な理由などで生理用品を買えない「生理の貧困」が社会問題として注目を集めるなか、大阪府教育庁は8月、生理をテーマにした教職員向け研修会を初めて開催した。「女性特有の問題ととらえることなく、性別を問わず広く知ってほしい」との狙いだったが、参加者のうち男性はわずか5%。専門家は狙いと内容を高く評価しており、府教育庁の担当者は「周知の仕方をもっと工夫すべきだった」と悔やむ。

研修会は8月上旬、大阪市内で実施。生理用品を取り扱う日用品大手「ユニ・チャーム」(東京)の社員が講師を務め、女性が定期的に出血を経験する生理の仕組みを解説した。痛みの程度や周期には個人差があることも説明した。

スポーツ庁委託事業「子供の体力向上課題対策プロジェクト」でNPO法人日本子宮内膜症啓発会議が中高生を対象に行った調査では、回答者の8割が「月経(生理)痛などで勉強への影響がある」と答えたといい、講師は生理による心身の不調が学校生活を左右することもあると指摘。教職員らは生理用品を手にしたり、メモを取ったりしながら熱心に聞き入った。だが参加者約160人のうち、男性はたった8人。ある男性教員は「男性がこんなに少ないとは」と疑問を口にした。

別の男性教員は小学6年生の担任を務めた際、修学旅行前に保護者から「生理の時期と重なりそうで心配している」と相談を受けた経験がある。女子児童にとっては女性教員の方が気軽に相談できるだろうとしつつ、「男性である自分も知っておかなければならないと思った」と話した。

府教育庁の狙いも同様だ。府内の公立、私立学校の教職員や市町村教育委員会の指導主事を対象に、「普段、生理に触れることのない教職員も積極的に参加してほしい」と呼び掛けていた。

男性の参加が少なかったことについて、府教育庁の担当者は「男性には踏み込みにくい内容と受け止められたのかもしれない。男性の参加をもっと打ち出すべきだった」と振り返る。今後も同様のテーマの研修会を続ける意向で「男性の参加を促していく」とした。

ユニ・チャームは企業や自治体を対象に生理に関する研修を続けており、建設業や消防といった男性の比率が高い職場からの申し込みも多いという。担当者は「生理の悩みを社会の課題として受け止める企業や自治体は増えている」とし、教職員への研修について「女の子が生活しやすい環境を作るうえで、教育現場の理解が進むことは核になる」と強調する。

立命館大の斎藤真緒教授(家族社会学)は「生理に関する正しい知識を知らない若者も多い」とした上で、「児童、生徒を指導する教員が生理に関する研修を受けることは画期的だ」と府教育庁の取り組みを高く評価。さらに「男性の認識が深まることで、男女間の相互理解も進む。子供と接する教育現場から実践してほしい」と求めた。

関わるのは女性教員だけ?

教員の専門知識や指導力の向上を目的とする研修テーマは多岐にわたる。教育公務員特例法では教育委員会に対し、若手教員を対象とした初任者研修や中堅教諭の研修を行うよう求めている。全国の教育委員会ではほかにも、各科目の授業づくりをはじめ、がん教育や情報通信技術(ICT)などをテーマに研修会を企画している。

大阪府教育庁が実施した生理に関する研修会。参加した男性教員はわずかだった=大阪市住吉区
大阪府教育庁が実施した生理に関する研修会。参加した男性教員はわずかだった=大阪市住吉区

大阪府教育庁では今年度約300の研修を実施し、毎月のように受講する教員もいるという。

いつどのような研修が行われるかは、府教育センターのホームページで紹介するほか、研修の内容に応じて対象の学校や市町村教育委員会に案内を送付するケースもある。これらを閲覧した校長が、校務分掌や教科などに応じて個別の教員に参加を促したり、教員自身が興味のある研修を選んだりして受講する。

今回の生理に関する指導者研修会は全教職員が対象だったが、受講者の多くが養護教諭や保健体育科の女性教員だった。府教育庁の担当者は「生理について教えるのは保健体育科か養護教諭だろう、と受け止めた学校が多かったのでは。対象が全教職員で、みんなで生理について知ろうという、本来の趣旨が伝わりにくい案内になっていた」と分析。今後は校長会で企画の趣旨を説明するなどし、「丁寧な告知を心掛けたい」としている。(木ノ下めぐみ)

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