書類の電子化ニーズ拡大 電帳法改正で MJS、一元管理のクラウドサービス

社内外で日々大量に受け渡す見積書や領収書、契約書など書類の電子化が企業の経営課題になっている。テレワークの普及や業務のデジタル化でペーパーレスやハンコレスが進み、2022年1月には電子帳簿保存法が改正された。メールなどの電磁的方法でやり取りした取引書類はデータによる電子保存が義務付けられるなか、慣れ親しんだ紙の処理からうまく移行できなければ業務に混乱をきたす恐れがある。23年10月に適格請求書の発行と保管を求めるインボイス制度の導入も控え、ニーズの高まる電子化を効率化へとつなげられるかが問われる。

クラウド上の“キャビネット”

取引先からメールで届いた請求書ファイルを開き、「書類登録」画面に取引先名称や金額、日付を入力。原本のPDFはクラウド上にアップロードし、改ざんを防ぐ時刻認証「タイムスタンプ」を付与して保存する。管理職や経理部門の承認、仕訳入力など支払い処理を経て、セキュリティー対策に万全を期した国内のデータセンターで長期保管に入る。

ミロク情報サービス(MJS)が21年12月から提供している電子保存のクラウドサービス「MJS e-ドキュメントCloudキャビネット」の利用の流れだ。従来のワークフローシステムは、印刷した原本や申請書と並行して処理するケースが多いが、取引先から社内までオンラインでやり取りを完結する。電帳法に対応し、紙代や保管の負担を軽減するうえ、テレワークでも利用できる。

IDとパスワードの発行のみでスタートするクラウドサービスなので、設備投資は不要。PDFファイルや紙を読み取ってデータに変換する「OCR(光学文字認識)」機能とも連携し、過去に遡(さかのぼ)って、検索しやすい電子保存に切り替えることも可能だ。

ミロク情報サービスの営業推進部ソリューション企画グループの宇野俊明氏は「社内の処理と請求書などの保存をクラウド上で一元的に進め、まとめて管理しやすくする」と説明する。

電子契約を追加

電帳法は、請求書や領収書などメールやクラウド上でやり取りする「電子取引」について、国税関係帳簿書類をデータで保存するよう義務付けた。周知までの期間が短かったことと準備期間不足への配慮から23年12月31日まで猶予措置がとられるなか、MJSが開催する関連セミナーの出席者からは「どんな対応が必要になるか」など基本的な質問が依然上がる。

宇野氏は「これから紙とデータの管理をどう使い分けるのかを整理する必要がある」と指摘する。法改正を契機に電子保存への移行に傾く企業の動向を反映し、MJSのサービスはすでに100件以上の申し込みを獲得したという。

22年6月には電子契約をクラウド上で締結する「MJS e-ドキュメントCloudサイン」をラインアップに追加。重要な契約データに法的効力を持たせるには、押印に代わって電子署名とタイムスタンプの付与が求められる。契約元と取引先がそれぞれ取得・管理する「当事者型」はシステムや労力の不足する企業には難しいが、「MJSが押印に相当する手続きを代行する事業者型(立会人型)なので中小企業でも導入しやすい」(宇野氏)。

インボイスは原則7年の保管義務

契約書の印刷や郵送、印紙にかかる時間や費用を大幅に削減するうえ、クラウドサービスなので費用の負担も大きくない。契約書は電子保存し、PDFデータでダウンロードが可能。“キャビネット”と連携して発注や請求書と契約書をデータで一元的に管理できる環境を構築する。

ソリューション企画グループの小林禎治氏は「会計や契約を別々のシステムで保管すると、アカウント管理や手続きが複雑化して見えないコスト(労力)が発生する。業務の流れに自然に組み込める電子化を考えてほしい」と話す。今後は「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」と呼ばれるシステムが相互に連携するための技術仕様を公開。約10万社のユーザーを持つMJSの財務・会計分野のラインアップを生かし、より一体的な運用を目指す。

MJS営業推進部ソリューション企画グループの宇野俊明氏(左)と小林禎治氏(右)
MJS営業推進部ソリューション企画グループの宇野俊明氏(左)と小林禎治氏(右)

電帳法に加え、23年10月には複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度がスタートする。適格請求書発行事業者の登録番号や税額、税率などを記した適格請求書の原則7年の保管が義務化されるが、紙では膨大な量になりスペースの確保や劣化の懸念が付きまとう。電子インボイスも認められるため、領収書や請求書の電子化が普及し、契約書などの電子化もいっそう加速する見込み。小林氏は「電帳法やインボイスへの対応を通じ、デジタル化で効率化や生産性向上を実現する発想が広まってほしい」と語った。

※掲載されている内容は掲載日時点の情報です。電子帳簿保存法、インボイス制度に関する最新情報は国税庁のWebサイトをご確認ください。

提供:ミロク情報サービス

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