日本三大銘茶の一つに数えられる「狭山茶」の主産地・埼玉県入間市は、市民に「1日1杯の狭山茶を飲む」ことを促す内容などを盛り込んだ条例案を市議会定例会に提出した。22日に採決され、可決、成立の公算が大きい。罰則を伴わない「理念条例」で、新商品開発に取り組む業者や茶文化のPR活動に励む市民への後押しにつなげ、主要産業のさらなる振興を図る。
条例案によると、名称は「おいしい狭山茶大好き条例」。可決されれば10月1日付で施行する。「茶業および茶文化の振興を図り、茶畑の風景や狭山茶のある暮らしを後世につなぐ」という目的を掲げ、市民の役割を「1日1杯の狭山茶を飲むなど狭山茶のある生活を心がける」と定めた。
狭山茶の栽培、製造、販売を手がける業者に対しては、手もみ茶技術の継承や品評会への出品などを通じて「茶業および茶文化の振興を図る取り組みを主体的に進める」ことを求め、市は業者への支援や狭山茶の魅力発信などを担う。また、新茶が出そろう時期にあたる毎年6月第1日曜を「狭山茶の日」とする。
狭山茶は埼玉県西部の特産品で、中でも入間市の栽培面積と生産量は群を抜いている。しかし最近はペットボトルの茶が浸透し、市内の茶業者も減少傾向にあるという。
茶業振興に関する条例は静岡市などで施行されているが、埼玉県内では入間市が初となる。杉島理一郎市長は「業者、市民、行政が一体となって狭山茶を盛り上げていく」と意気込んでいる。(中村智隆)