新潟沖の洋上風力発電開発、年内に業者選定へ 地域活性化の切り札に

新潟県胎内市沖の洋上風力発電設備の設置イメージ(同県洋上風力発電導入研究会村上市・胎内市沖地域部会の資料より)
新潟県胎内市沖の洋上風力発電設備の設置イメージ(同県洋上風力発電導入研究会村上市・胎内市沖地域部会の資料より)

新潟県村上、胎内両市沖で洋上風力発電を開発するため設置された協議会は、漁業関係者ら地元の意見を盛り込んだ「協議会意見」をとりまとめ、開発に向け大きく前進した。早ければ年末にも、この海域で発電事業を希望する業者の公募が始まる予定だ。8月初旬の異常な豪雨で大きな被害を受けた両市。脱炭素化の切り札の一つとされる洋上風力で、地域活性化を目指す。

丁寧な合意形成

協議会は、洋上風力の開発を促進する再エネ海域利用法に基づき設置された。事務局は経済産業省などが務めている。

今年1月の初会合以降、漁業関係者や、村上、胎内両市など地元との合意形成を目指して話し合いを続けてきた。6月には3回目の会合が開かれ、開発事業者が行う漁業影響調査の概要などが盛り込まれた「協議会意見」をとりまとめた。

協議会やその下部会合の実務者会議で、両市の特産品・サケの漁獲量や養殖への影響など、地元の漁業関係者や自治体などが抱く不安に一つ一つ丁寧に応えていった結果、全ての利害関係者が開発に合意。開発にゴーサインを出す「協議会意見のとりまとめ」という形で結実した。

新潟県村上、胎内両市沖の洋上風力発電開発で、意見を取りまとめた協議会の第3回会合の様子=6月20日、新潟市中央区(本田賢一撮影)
新潟県村上、胎内両市沖の洋上風力発電開発で、意見を取りまとめた協議会の第3回会合の様子=6月20日、新潟市中央区(本田賢一撮影)

新潟県漁業協同組合連合会の小田政市代表理事会長は3回目の会合の最後に、「今後も(国や県、地元漁業関係者らが)しっかりと連携し、洋上風力発電開発を地域の共存共栄につなげてほしい」と要望。

村上市の高橋邦芳市長は協議会意見に「選定事業者は騒音、超低周波音、風車の影、鳥類、海生生物、景観への影響を回避・低減できるよう配慮する」などの環境配慮事項が盛り込まれたことを高く評価した。

業者を選定へ

協議会意見のとりまとめを受け、開発に向けた手続きは次のステップに進む。両市沖の風況が洋上風力の開発に適切で、発電設備から電力網への接続が確保されていることなどが確認されれば、経済産業相と国土交通相が9月にも両市沖の海域を開発の「促進区域」に指定。国が選定した業者はこの区域で最大30年間、洋上風力発電事業を行うことができる。

その後、国は業者の公募要領に当たる公募占用指針を策定。地元が提示した協議会意見は、指針の一部として組み込まれる。

公募を開始する時期について、資源エネルギー庁風力政策室の石井孝裕室長は「年内にできればと考えている」としている。昨年の公募は12月10日に始まっていることから、今年も年末になる可能性がある。

開発に名乗りを上げたい業者は、指針を踏まえた事業計画(公募占用計画)を国に提出。国は、業者が想定する電力供給価格や事業実現能力、地元経済への波及効果などを総合的に評価し、知事から意見聴取したうえで、業者を選定する。

選定業者は、計画について地元の漁業関係者らから了解を得た後、環境影響評価(アセスメント)や漁業影響調査を実施。建設工事を経て、風力発電事業を行う。工事中も漁業への影響に配慮することになる。

基金の規模は

業者選定後の大きな焦点は、地元が強く求めている「地域や漁業の振興に資する基金創設」だ。洋上風力の売電収入の一部を基金に積み立て、漁業や地域の振興に役立てるもので、洋上風力と地域の共生策と位置づけられている。

協議会意見では、基金の規模について「発電設備の出力(kW)×kW当たり単価250円×30年」との目安を示している。

両市沖の海域には、出力9・5~16メガワット(1メガワット=1000kW)級の洋上風力発電機を28~60基設置することが想定されている。実際の出力は選定業者が設定することになるが、この想定をもとに試算すると、最大72億円規模の基金が設置されることになる。(本田賢一)

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