宝酒造「バービカン」以来36年ぶり新商品 成長続くノンアル

宝酒造はチューハイでノンアル飲料市場の開拓に乗り出す=6日、京都市下京区
宝酒造はチューハイでノンアル飲料市場の開拓に乗り出す=6日、京都市下京区

新型コロナウイルス禍による健康志向や家飲みの定着でノンアルコール飲料の需要が高まっている。宝酒造は6日、日本初のビール風飲料「バービカン」以来、約36年ぶりのノンアル新商品を10月に発売すると発表した。ノンアル市場はメーカー各社の開発競争でこの10年で倍増しており、同社は食事に合う「辛口」を打ち出して市場での存在感を高めることを目指す。

宝酒造の新商品「辛口ゼロボール」(350ミリリットル、参考価格税別131円)はチューハイ風飲料で、独自製法によるアルコールを含まないエキスなどを使用している。開発には約1年半を費やした。担当者は「アルコール嫌いだけでなく、休肝日用などに手に取る人が増えている」とする一方、「既存のノンアルチューハイに不満の声も多い」といい、新商品は食事に合うキレのある辛口で、お酒のチューハイに近い味わいに仕上げた。

同社が「バービカン」を発売したのは昭和61年。酒税法ではアルコール度数1%未満をノンアルと表記してよく、同商品は0・1%だった。だがその後、業界の自主基準として酒類に味わいが類似した0・00%のみをノンアルと明記できることにし、各社が開発を強化して現在に至っている。

「当時は飲酒運転の社会問題化を受けて商品化したが、その後に飲用シーンをうまく広げられず、価格競争でも苦戦した」(担当者)ことから、同社は平成19年、日本ビール(東京)にバービカンの販売権を譲渡し、ノンアル飲料事業から撤退した。

再参入に踏み切ったのは若者のアルコール離れだけでなく、コロナ禍による健康志向の高まりなどで市場が急拡大しているためだ。サントリーの推計では、ノンアル飲料市場はこの10年で約2倍に成長。令和12年には3年比で約1・4倍とさらに成長を見込む。

こうした中、大手メーカーのノンアル飲料も売れ行き好調だ。

キリンビールは主力ビール「一番搾り」の製法を取り入れたビール風飲料「キリン グリーンズフリー」がヒット。年間販売目標を当初の約110万ケースから約150万ケースに上方修正した。担当者は「技術が進化し、よりお酒に近い味わいが実現できたことなどから、飲料の選択肢として定着した」と説明する。

サントリーもビール風飲料「オールフリー」シリーズが4年連続で前年出荷量を上回り、昨年は前年比11%増だった。機能性表示食品として元年に売り出した「からだを想うオールフリー」は同35%増で、群馬県に加えて京都府の工場にも設備を導入して8月から生産能力を1・4倍に高めた。同社は近年、チューハイやワインでもノンアル商品を広げている。(田村慶子)

会員限定記事会員サービス詳細