国連本部で8月に開催された核拡散防止条約(NPT)の再検討会議は、ロシアの反対により、最終文書を採択できず決裂した。ロシアは、自ら占拠するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所に関する記述など「5つの項目」に反対したとされるが、詳細を説明せず、反対を通じて何を訴えようとしたのかも明らかにしなかった。関係者の話を基に、ロシアの反対の意図と、NPTの目指す「核兵器のない世界」の行方に与える影響を考える。
ザポロジエ原発とブダペスト覚書
「いくつかの露骨に政治的な項目に反対だ」。ロシア代表が最終文書案の採択への反対を表明したのは会議最終日の8月26日夜。修正を求めた項目は「5つある」と述べたものの、具体的な項目や反対の意図の説明はなく、報道陣の関心はそれらの解明に集中した。