木造の超高層建築相次ぐ 万博の大屋根も ゼネコンは独自の耐火材

大阪・関西万博の会場に木材で建設する巨大環状屋根「リング」の内部イメージ(日本国際博覧会協会提供)
大阪・関西万博の会場に木材で建設する巨大環状屋根「リング」の内部イメージ(日本国際博覧会協会提供)

柱や梁(はり)などの構造材に木材を使った大型建築を建設する動きが広がっている。木材は燃えやすいと考えられがちだが、大手ゼネコンは独自開発の火に耐えられる集成材(複数の木材を集めてつくられる素材)を導入する。鉄など金属の素材と比べて二酸化炭素排出が抑制でき、脱炭素社会の実現にもつながるため、施工主や建設する企業のイメージを高める利点があることから、大型の木造建築は今後さらに注目されそうだ。

2025年大阪・関西万博が開かれる人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市)の会場では、リング型の大屋根(円周約2キロ)が世界最大規模の木造建築として建設される。

「木造建築で世界最大規模の東大寺や最古の法隆寺(いずれも奈良県)など、日本は古来、木造の伝統がある。万博で木造建築を提案できれば世界へのアピールになる」。会場デザインプロデューサーで建築家の藤本壮介氏は、7月の発表会見でこう語った。

大屋根は木材の柱と梁を水平・垂直に組み合わせた構造で、リングの上を来場者が歩くこともできる。使用する木材は国内外で調達し、総量は2万立方メートルを見込む。

木造を選択した理由について、藤本氏は「SDGs(持続可能な開発目標)や脱炭素が注目されているからだ」と説明した上で、「欧州や北米では木造の超高層ビルの建設が積極的に進められており、日本は世界から遅れている」と強調した。

竹中工務店と三井不動産が東京・日本橋で建設する木造ビルの完成イメージ (竹中工務店提供)
竹中工務店と三井不動産が東京・日本橋で建設する木造ビルの完成イメージ (竹中工務店提供)

ただ、日本国内でも木造の高層ビル建設の動きが出始めている。三井不動産と竹中工務店は東京・日本橋で、木造高層建築物として国内最大級の賃貸オフィスビルを建設する計画で、令和5年に着工し、7年の竣工を目指す。地上17階建て、高さ約70メートルとなる予定。

主要な構造材として、竹中工務店が開発した耐火集成材「燃(も)エンウッド」を採用。火災が発生しても、外側の断熱効果のある層と、内側の吸熱効果のある層により柱や梁を守る。

同社の担当者は「国内では数十年前に植林された木材が伐採時期を迎えたが、活用されていない。有効活用すれば地域の林業に貢献できる」と指摘。「木造ビルはコストが高くなりがちだが国産木材の使用に補助金もあるし、SDGsの意識の高まりで自社ビルを木造にしたいという施工主は増えている」と話す。

さらに、大林組は8月24日、オーストラリア・シドニーで、木材と鉄骨造を組み合わせた木造ハイブリッド構造のビルの施工を受注したと発表した。地上39階建て、高さ182メートルで、ハイブリッド構造も含めた木造として世界一の高さになるという。

木造建築の建設が活況になれば国産木材にも注目が集まることになる。世界的には昨年、北米での住宅需要の高まりで木材価格が高騰する「ウッドショック」が起きた。さらにロシアのウクライナ侵攻の影響でロシア産木材の輸入が困難となり、円安も相まって国産木材の需要が高まっている。(井上浩平)

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