欧米の「超スピード配達」ビジネスは、あまりにスピーディーな凋落を迎えつつある

超スピード配達のスタートアップは、1回の注文にかかる配送コストが従来型の宅配より高くなりがちなことも事実だ。欲しいものがすぐに届くとなれば、夜遅くにチョコレートバーを衝動買いしたくなる人も増えるはずだろう。

ところが、配送員がクルマや自転車で品物を届ける際にかかる経費は、運ぶものが75ドル(約10,350円)分の食料品が詰まった袋だろうと、5ドル(約690円)のパック入りアイスクリームだろうと同じなのだ。注文をひとつにまとめ、1回の配達で数カ所に届けることで経費を抑えられる可能性もあるが、15分以内の配達が必須となればそれも難しい。

結果的に超スピード配達サービスの多くは、「注文を受けるたびに損をしているのです」とハーバード・ビジネススクールのアイゼンマンは言う。

この分野で勝者となるのは誰か

超スピード配達を手がける多くの企業は、新たな顧客を誘い込むために気前のいいプロモーションを繰り返し、そのせいで苦しい財政をさらに悪化させてきた。

そのひとつが、ニューヨークを拠点とするスタートアップの1520だ。最低注文額の制限なしまたは配達料無料で15分以内に品物を届けるサービスを21年に開始した同社の創業者のひとりであるマリア・ダニルチェバは、自社のビジネスモデルを「最高に効率的」と評しており、売り場スペースへの投資が不要なので食料品店の利益がさらに増えるはずだと語っていた。ところが、1520は21年末までに資金を使い果たして倒産している。

この種の派手なプロモーションが今後も続く可能性は低いだろう。超スピード配達のスタートアップが23年まで事業を存続するには、各社とも資金繰りがうまくいっていることをすぐにでも証明する必要がある。

食料品の即日配達で先頭を走るInstacartは、注文から15分以内に品物を届ける独自サービスの実現に取り組んでいる。この分野で勝者となるのは、財務の現実に目を背けることなく、最速で約束を果たせるスタートアップに違いない。

(WIRED US/Translation by Mitsuko Saeki/Edit by Daisuke Takimoto)

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