スイス氷河、85年間で半減 2万枚超の写真分析

スイス南東部グラウビュンデン州の氷河。1935年(上)と比較すると2022年(下)は右下の氷河が消えて湖になっている(スイス地理院/スイス連邦工科大チューリヒ校提供・共同)
スイス南東部グラウビュンデン州の氷河。1935年(上)と比較すると2022年(下)は右下の氷河が消えて湖になっている(スイス地理院/スイス連邦工科大チューリヒ校提供・共同)

アルプスを抱える欧州の山国、スイスにある氷河の体積が2016年までの85年間で半減したとの研究結果を、スイス連邦工科大チューリヒ校(ETHZ)とスイス当局が3日までに発表した。2万枚を超える写真の分析から推計した。16年時点と比較すると現在までにはさらに12%減少し、地球温暖化の影響でペースが加速。世界各地でも氷河融解が深刻化している。(共同)

スイス南部バレー州のマッターホルン周辺。1930年(上)と比較すると2022年(下)では中央の氷河が消滅して湖が残り、リフト乗り場もできる状態になった(スイス地理院/スイス連邦工科大チューリヒ校提供・共同)
スイス南部バレー州のマッターホルン周辺。1930年(上)と比較すると2022年(下)では中央の氷河が消滅して湖が残り、リフト乗り場もできる状態になった(スイス地理院/スイス連邦工科大チューリヒ校提供・共同)

今回のスイスの研究では、1916~47年に撮影された約2万1700枚に上る氷河の写真を基に、中間年に相当する31年の氷河の状況を算出した。2016年の状況と比較して分析したところ、51・5%に相当する62立方キロメートルの氷が失われたと推計した。

スイス南部バレー州のゴルナー氷河。1930年(上)に氷で覆われていた場所には、2022年(下)には谷川が流れている(スイス地理院/スイス連邦工科大チューリヒ校提供・共同)
スイス南部バレー州のゴルナー氷河。1930年(上)に氷で覆われていた場所には、2022年(下)には谷川が流れている(スイス地理院/スイス連邦工科大チューリヒ校提供・共同)

アルプスの氷河は1850年ごろから消失が始まった。常に減少を続けてきたのではなく、1920年代と70年代後半には増加したところもあった。

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