下関海峡エリア開発 市と星野リゾートがタッグ

星野リゾートの星野佳路代表がリモートで参加した意見交換会=7月15日、山口県下関市役所
星野リゾートの星野佳路代表がリモートで参加した意見交換会=7月15日、山口県下関市役所

山口県下関市が、関門海峡に面する「あるかぽーと・唐戸エリア」の振興に乗り出している。市は、同エリアにホテルを建設する星野リゾート(長野県軽井沢町)とタッグを組んで開発を進め、国内外からの観光誘客を目指す。同エリアでは過去に開発計画が浮上してはつぶれてきた経緯がある。前田晋太郎市長は同エリアの活性化を「1丁目1番地」に掲げており、トップとしての手腕が問われる。

「歴史を体感できるような施設があれば観光の目玉になるのではないか」

「若者を呼び込むための仕掛けをしてほしい」

7月中旬、市と星野リゾートが開いた市民との意見交換会。参加者からは、市内観光の目玉である同エリア活性化への期待や注文の声が上がった。

意見交換会には、星野リゾートの星野佳路代表もリモートで参加し、同エリアの振興について「海に面した非常に恵まれた場所。長期的には、隣県だけでなく大都市圏、海外では欧米からの誘客を増やしていく取り組みが必要だ」と強調した。

マスタープラン

市と星野リゾートは今年4月、「地域活性化に関する連携協定書」を締結し、市が星野リゾートに同エリアの活性化に向けたマスタープラン策定を業務委託した。

星野リゾートは、同エリア内の遊園地「はい!からっと横丁」南側に隣接する約1・8ヘクタールにホテル「リゾナーレ」を建設する。地上12階建てで約190の客室を備え、カフェやプール、ダイニングなども併設する。

当初はビジネス客を主体とする都市観光型のホテルを予定していた。しかし、星野氏が現地を視察し、関門海峡に面した立地など下関観光の魅力を見直したことから、規模を拡大し、家族連れを中心に幅広い層の集客を狙うホテルに変更することを決めた。

開業は令和7年秋の予定で、市としてはホテルを起爆剤に、エリア全体の活性化を図る。

星野リゾートは市民との意見交換会に合わせてマスタープランのたたき台を公表した。「散策が楽しい港」をコンセプトの一つに掲げ、一帯約20ヘクタールを飲食やレジャー、学術研究など5つのエリアに分けて、開発を進める案を示した。

前田氏と星野氏は7月、まちづくりの参考とするため、オーストラリア・シドニーの港町ダーリングハーバーを視察。市民の意見も参考に秋頃にはマスタープランをまとめ上げる予定で、星野氏は「プランを基に、どうすれば大都市圏や欧米の市場に競争力が持てるかを考えていきたい」と話す。

3度目の正直

唐戸市場や水族館「海響館」などが並ぶ同エリアは、市内観光の核として多くの集客を誇るが、未利用地の開発は長年の懸案となっている。

市は平成11年、最初の事業公募を行い、神戸製鋼所を中心とするグループが開発事業者に決定した。複合商業施設やホテル、客船ターミナルなどを整備する大型の開発計画をぶち上げたが、関門海峡を臨む眺望が損なわれることや大規模店舗進出への懸念から、近隣商店街など地元が反対し、頓挫した。

20年には2回目の公募を実施。事業者が決定し、複合商業施設などを建てる計画だったが、翌21年のリーマンショックによる経済情勢の悪化でテナント交渉が難航したため、事業者は撤退を余儀なくされた。

星野リゾートのホテル進出は、市にとっては「3度目の正直」となり、ホテル建設をきっかけに同エリアの開発を加速させたい考えだ。前田氏は「官民でまちづくりのイメージを共有し、魅力的な港湾都市を目指していく」と意気込む。(小沢慶太)

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