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官民連携 LINEで妊活相談

「多くの市民に妊活LINEサポート事業を知ってほしい」と語る横須賀市地域健康課の竹田杏子さん
「多くの市民に妊活LINEサポート事業を知ってほしい」と語る横須賀市地域健康課の竹田杏子さん

住民サービスの向上にフェムテックを取り入れる自治体も出てきた。神奈川県横須賀市が取り組む「妊活LINEサポート事業」は代表例の一つ。市は令和2年度のモデル事業を経て昨年度から、LINEを通じて妊活・不妊治療の情報を提供する企業「ファミワン」との連携を始めた。妊活支援で民間サービスの活用を決めた背景には、どんな事情があったのだろう。

「市民が望んだときに妊娠、出産ができるように、以前から女性の健康に関するセミナーを開いたり、パンフレットを配ったりして情報発信に力を入れてきました」と話すのは市の地域健康課に勤める保健師の竹田杏子さん。だが相談件数もセミナー参加者もなかなか増えない課題があった。

「そもそも妊娠前の若い世代にとって市役所は遠い存在。市の妊活支援を知ってもらえない、もどかしさがありました。気軽に相談できる環境を整えるために、LINEという手段を使ったサービスは適していると考えました」

この事業では、月額3980円かかるファミワンのサービス料を市が全額負担する。

サービスに登録した市民は、ファミワンの不妊症看護認定看護師や臨床心理士、胚培養士ら、多くの専門家からアドバイスを受けられる。妊活を意識し始めたころから、病院選びや治療中まで、あらゆる悩みに対応してもらえる。

「事業は『妊活サポート』と銘打っていますが、将来の妊娠に向けた月経トラブルの相談も受け付けています。もっと周知に力を入れ、横須賀市の多くの女性に利用してもらいたい」と竹田さんは語る。

市とファミワンの契約は単年度更新だが、事業が継続しているのは利用者の満足度が高いからだ。

「ネットで調べるだけでは知識が足りず、夫の受診を説得することもできませんでした」

「結婚したら自然に子供が、なんて思いは間違いでした。もっと体のことを知り、計画的に進めていくべきでしたが、個人ではハードルが高すぎました」

市の事業を知るまで、不妊治療に向き合うことがつらく、具体的な解決策を見いだせないでいたという利用者の女性の声だ。

ファミワンの無料相談で「受診するべき」と背中を押された女性はいま、夫とともに積極的に治療に臨めるようになったという。

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