主張

ゲーム条例「合憲」 依存防ぐルールは当然だ

子供たちのオンラインゲームなどの利用時間の目安を定めた香川県の条例について、高松地裁は「合憲」と認めた。当然の判断である。

ネットやゲームの過剰な利用は、心身への悪影響が大きい。歯止めとなるルールを設け、子供を守ることは必要だ。

条例は県議会の超党派の議員連盟で制定が検討され、2年前に成立、施行された。ネット・ゲームへの依存を防ぐことを目的として、利用時間の目安を具体的に示して注目された。

条例は18歳未満のゲームの1日の利用時間を60分(休日は90分)までとするほか、利用時間帯について義務教育修了の中学3年までは午後9時、高校生などは午後10時までと示した。家庭内でルールを設け、保護者が子供に守らせる努力目標として定められた。

目安の「60分」は、香川県の学力調査でスマホなどの利用が1時間を超えると成績が低下する傾向を踏まえたという。

原告は提訴当時、高校生の男性と母親で、憲法が保障する幸福追求権や自己決定権を侵害し、精神的苦痛を受けたなどとして損害賠償を求めていた。訴訟費用はネット上で資金を募るクラウドファンディングにより約600万円集まったという。ゲーム好きは多いのだろうが、憲法違反などの主張には、やはり無理があった。

「60分」くらいは皆、やっていると思う人は多いかもしれない。規制は大きなお世話との声もあろう。だがゲームに長時間のめりこむことで、自らの幸福を脅かす危険性を認識したほうがいい。

条例成立の前年には、世界保健機関(WHO)が、ゲーム依存症(障害)をギャンブル依存症などと同様、国際疾病分類で病気と位置づけている。オンラインゲームで過度の刺激を長時間受けることで、脳の損傷や萎縮が起きるなどの研究も報告されている。

厚生労働省研究班の調査では中学・高校生の1割超がネットへの依存性が高く「病的使用」ともされている。人ごとではない。

ゲームの衝動が抑えられず、生活に問題が出てもやめられない状態が続くことが、病気かどうかの分かれ目という。「衝動」が抑えられなくなっては手遅れだ。

わが子は大丈夫か。夏休みにゲーム漬けになっていなかったか。大人を含め、これを機に時間の使い方を見直したほうがいい。

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