新学期、感染再拡大の不安 子供のワクチン 夏休みも進まず

各地の小中高校で新学期を迎える中、新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念されている。7月以降の第7波では教育現場から家庭内に感染が広がり、過去最悪の流行が生まれる一因となった。感染増加に伴って子供の重症・死亡例も増えており、各自治体は子供同士の接触機会が減る夏休み中にワクチン接種を促すための工夫を凝らしたが、接種率の低迷から抜け出せていない。

「ワクチンを接種したから夏休みも旅行できたし、安心して2学期を迎えられた」。東京都江戸川区に住む小学6年生の女子児童(12)はそう話す。

女児が通う小学校では今年初めの第6波の間に数十人規模が感染、一部で学級閉鎖になった。国は2月に5~11歳向けのワクチン接種を開始。3年ぶりに行動制限のない夏休みとなり、長野県に住む高齢の祖父母宅に帰省することも踏まえ、女児は7月中旬までに2度の接種を終えた。

感染者数の高止まりが続く中での新学期。女児の学校では給食時の会話を禁止する「黙食」などの対策を続けるが、新学期初日からコロナ感染で欠席する児童もいるという。女児の母親(47)は「ワクチンを接種したから『絶対安心』ではないので、自分も子供もできる限りの対策を続けていきたい」と話した。

自治体は躍起

オミクロン株が猛威をふるう第6波、第7波は子供の間で感染が拡大した後、家庭や職場などに波及するのが特徴となっている。

東京都の感染者の世代別割合は7月12~18日に10歳未満10・8%、10代13・4%だったが、夏休みに入り、徐々に減少。8月16~22日にはそれぞれ9・1%、9・2%となった。複数の感染者が出た学校・教育施設も6月20日~7月17日は58件に上ったが、同18日~8月14日には20件に落ち着いた。いずれも子供同士の接触機会が減ったことが要因とみられる。

各自治体は帰省や旅行の機会が増えることも踏まえ、夏休みに入るタイミングで若年層を対象とした接種促進策を実施。金沢市は7月23日から集団接種会場に12~17歳の優先接種枠を設けたところ、「予約枠がほぼ埋まるようになり、接種率向上に寄与した」(同市担当者)という。

滋賀県は7月13日~8月15日を「強化月間」とし、12~17歳を対象とした集団接種会場などの情報を集中的に発信。ただ、12~19歳の3回目接種率は33・8%と約1カ月前から約5ポイントの伸びにとどまった。県の担当者は「新学期以降は副反応で授業を休む懸念などから、また接種してもらいにくくなる」と漏らす。

5~11歳低迷

停滞ぶりが目立つのが5~11歳の接種率だ。全国の同22日時点の2回目接種率は17・4%で、7月19日時点の16・6%から微増だった。神戸市の担当者は「『努力義務』ではないことで、接種の呼びかけがしづらかった」と明かす。

小学4年生(9)と同1年生(6)の男児2人の接種を見送っている都内の男性(45)は「長期的な副反応の有無は時間がたたないと分からない。子供たちに不安やリスクを背負わせたくない」と話す。

厚労省の分科会は、子供で重症化する例が報告されたほか、効果や安全性に関するデータが集まってきたことから5~11歳の接種にも努力義務を適用することを了承。9月上旬にも政令改正案を閣議決定する。

長崎大の森内浩幸教授(小児科)は「感染予防効果は限定的だが、重症化を防ぐ効果は期待できる。保護者は接種の意義を理解した上で打たせることが大切だ」と指摘。新学期に向けては「学校側は換気を徹底し、必要な時にマスクを着用させるなど、メリハリのある対策を心がけてほしい」と呼びかけている。(外崎晃彦)

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