加速するテック業界のオフィス縮小が、世界各地の地域経済にもたらす影響の深刻度

「緩やかな出血」が進む?

巨大テック企業の影響は、世界のほかの地域にも差し迫っている。「少なくとも10年以上にわたり、テック業界は米国における不動産賃貸の主要な牽引役となってきました」と、JLLのライアンは語る。

ところが、そうした構図は変わりつつある。まだデータ分析を進めている段階だが、ライアンによると第2四半期のデータはこうした状況が変化しつつあることを示しているという。「テック業界と金融業界が密接に結びついていました。それは少し異例のことで、現在の市場の脆弱性を物語っています」と、ライアンは語る。

巨大テック企業は今後もかなりの規模で自社のオフィススペースを外部に貸し出し続け、今後しばらくは不動産市場の動向に大きな影響を与える存在であり続けるだろうと、ライアンは推測している。だが、それは恐らくこの業界とは伝統的に結びついていなかった市場におけるものになるだろう。

「デンバーのリバーノース地区、イーストオースティン、マイアミのウィンウッド地区など昔ながらのオフィス街ではなく、活気のある地域ですらなかった場所がオフィス市場の最大の注目スポットになりつつあります。この流れは、ほぼ全面的にテック業界主導の投資の結果です」と、ライアンは語る。

こうした地域の成功は、伝統的にテック産業に依存してきたシリコンバレーやその周辺地域の犠牲の上に成り立つものだ。Green Streetのイスマイルは、こうした働き方の変化を一度きりの変革ではなく「緩やかな出血」と表現している。

「瞬時にすべてを一変させてしまうものではありません」と、イスマイルは語る。「時間の経過とともに徐々に変わっていくでしょう。時が経つにつれ見えてくるものなのです」

(WIRED US/Edit by Daisuke Takimoto)

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