〈独自〉スマホアプリ不正機能検証へ 対中流出懸念で総務省

総務省=東京都千代田区
総務省=東京都千代田区

総務省が、情報の無断送信などスマートフォンアプリの不正機能の検証に乗り出すことが26日、分かった。情報の無断送信を巡っては、中国IT大手の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」が利用者の個人情報を中国政府に送信している可能性があるとして、米政府などが懸念を強めている。総務省は各種アプリを検証することでこうした経済安全保障上の懸念に対応する考えだ。

総務省が乗り出す予定の検証は、アプリが外部にどういう情報を送信しているかの開示状況に関する実態調査や、アプリがどういう仕組みで情報を送信しているかについての外部機関による技術解析など。実態調査や技術解析の支援費用として、総務省は令和5年度予算案の概算要求で10億円を求める方針で、検証は来年度から始める見通しだ。政府関係者は「各種アプリを技術者に解析してもらって結果を示すとともに、解析技術をより高度にすることが必要になる」と話す。

無断情報送信の懸念が最近、指摘されているのは、ティックトックやインスタグラムなど動画や写真からリンク先に飛ぶ場合にアプリ内ブラウザーを利用しているアプリだ。オーストリアを拠点とする技術者のフェリックス・クラウス氏の調査によると、アプリ内ブラウザーで利用者がパスワードなど重要な情報を入力すると、アプリ運営企業が利用者に無断で情報を監視する場合があるという。特にティックトックは深刻なセキュリティー懸念があるとされるが、ティックトック側はツイッターで否定している。

ただ、アプリ内ブラウザー経由以外で位置情報などを外部に送信しているアプリもあるため、総務省は情報送信の方法別にアプリを分けた上で、調査・解析を進める方針だ。

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