安倍氏銃撃検証

中村長官辞職へ 検証結果公表「阻止できた可能性高い」

安倍晋三元首相の銃撃事件を受けて、警備の見直し、検証結果の公表に関しての会見をする、中村格警察庁長官=25日午後、東京・霞が関の警察庁(鴨志田拓海撮影)
安倍晋三元首相の銃撃事件を受けて、警備の見直し、検証結果の公表に関しての会見をする、中村格警察庁長官=25日午後、東京・霞が関の警察庁(鴨志田拓海撮影)

安倍晋三元首相(67)が参院選演説中に銃撃されて死亡した事件で、警察庁は25日、奈良県警の不十分な警護計画や現場の警護員間の意思疎通の不徹底など複合的要因が重なったとする事件の検証結果をまとめた。これを受け、中村格(いたる)長官(59)は「人心を一新する必要がある」とし辞職の意向を示した。警察トップとして事実上の引責となる。一方、奈良県警の鬼塚友章本部長(50)は減給100分の10(3カ月)の懲戒処分を受けた。鬼塚氏も辞職を表明した。

安倍氏は7月8日、ガードレールに四方を囲まれたエリアで演説中に、背後から近づいてきた山上徹也容疑者(41)に手製の銃で撃たれた。事件後、警察庁は、「検証・見直しチーム」を立ち上げ、問題点を洗い出してきた。

その検証・見直しの結果で、警察庁は、強固な殺意を持つ襲撃を想定せず安易に前例を踏襲した奈良県警の警護計画や現場の警護員間の意思疎通の不備などを認め、安倍氏後方の警戒に「空白」が生じたとした。

安倍氏は2発目が命中して倒れたが、1発目の発砲直前に山上容疑者の存在に気付いていれば、接近を防げ、「(犯行を)阻止できた可能性が高かった」と認定した。

警護計画は都道府県警が作成し、警察庁が事前にチェックする体制になく、安倍氏のケースも奈良県警から警察庁に報告などはなかった。会見で、中村長官は「警護計画や危険度評価に不備があった。長年にわたり都道府県警察の責任で警護を行う仕組みに限界があった」と述べた。

検証を受け、警察庁は都道府県警察が行う警護運用への関与を強化。現場の指揮役など警護員の役割や制服警察官の配置を含めた警護計画の基準を作成し、それに沿って都道府県警が作成した計画案も全てチェックする。

チェック体制も整備し警護に関する新たな部署を新設して職員を大幅に拡充する。警視庁の警護体制も倍増する。

警察庁は、こうしたことを盛り込んだ警護の基本的事項を定めた「警護要則」を全面的に見直し、新たな警護要則を制定。中村長官は「新たな体制の下で新たな警護要則に基づく措置を着実に行う」などと述べて辞職の考えを示した。辞職は26日の閣議で了承される見通し。

中村氏は東大法学部を卒業後、昭和61年に警察庁入庁。警視庁刑事部長や警察庁次長などを歴任し令和3年9月に長官に就いた。

奈良県警の松浦克仁警備部長(59)も減給の懲戒処分を受け辞意を表明。警備部参事官(60)ら4人も減給や戒告の処分を受けた。

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