生命保険金をだまし取ろうと資産家の女性を殺害した容疑で再逮捕された高井(旧姓・松田)凜容疑者は、関西の有名私大を経て上京し、外資系保険会社などで勤務していた。タワーマンションを転々とするなど、事件後もSNS(交流サイト)上で華やかな生活ぶりを発信していた。
《そういえば、クルマ買った》--。神奈川県と静岡県にまたがる芦ノ湖スカイラインで、雲海が漂う富士山をバックに写真に収まる凜容疑者の姿があった。イタリアの高級車メーカー「ランボルギーニ」のスーパーカー・ムルシエラゴの購入を自慢するかのようなSNSの投稿。公開されたのは、高井直子さんが遺体となって発見された約1カ月後だった。
凜容疑者は兵庫県西宮市出身。高校時代はアメリカンフットボール部に所属し、攻撃の司令塔「クオーターバック」として、日本代表にも選ばれた。進学した関西学院大でもアメフト部に所属。同級生の20代男性は「部ではコーチとして中高生を熱心に教えていた。派手なことをするのが好きな性格で、付き合いにくかった」と明かす。
平成28年に東京都内の大手コンサルティング会社に入社。IT関係の業務に従事したが、30年11月に外資系保険会社に転職した。元同僚の男性(29)は当時の凜容疑者について、「上昇志向が強く『お金をいっぱい稼ぎたい』と口癖のように言っていた」と振り返る。だが顧客とのトラブルを起こすなどし、令和2年6月に退社した。
捜査関係者によると、高井さんとは保険外交員時代に知人を通じて知り合った。高井さんが加入した2社の生命保険計約1億5千万円分には、かつての勤務先のものも含まれていた。
一方、会員制バーや高級すし店に出入りしたり、高級ブランドの洋服や宝飾品を頻繁に購入したりする日常をSNSで発信。家賃30万円は下らない東京都港区内のタワーマンションを転々とし、交際女性との同棲(どうせい)生活を頻繁に投稿していた。派手な生活ぶりをいぶかしむ声もあったが、周囲には「FX(外国為替証拠金取引)でもうけた」と語っていたという。
知人男性は「普通のサラリーマンでは到底できないような暮らしぶり。殺人事件を起こすような人には見えなかったが、なぜそんなに金があるのかと不思議だった」と声をひそめた。