ほかに居場所あるよ 夏休み明け子供のSOSキャッチ

いじめなどで亡くなった子供たち11名のメッセージが展示された「心と体を傷つけられて亡くなった天国の子供たちのメッセージ展」。教育関係者などが展示を見におとずれているという=24日午後、東京都港区(三尾郁恵撮影)
いじめなどで亡くなった子供たち11名のメッセージが展示された「心と体を傷つけられて亡くなった天国の子供たちのメッセージ展」。教育関係者などが展示を見におとずれているという=24日午後、東京都港区(三尾郁恵撮影)

9月初旬にかけて各地の小中高校で夏休みが明け、新学期がスタートする。この時期は、勉強や人間関係などの悩みを抱える児童生徒の自殺が増える傾向にあり、新型コロナウイルス禍によるリスクの高まりを指摘する声もある。子供たちのSOSをキャッチするにはどうしたらよいのか。学校や家庭のほかにも「居場所」があることを子供たちに伝える試みが進められている。

「学校に行くのは、しんどいですか。じゃあ、行かなくていいです。あなたは悪くないし、弱い人間ではないし、あなたのせいはなんにもないです」

俳優の東ちづるさん(62)は動画投稿サイトの映像でこう呼びかけた。自身も高校時代に友達がおらず、無理をして登校した経験があり、3年間の記憶がないという。「あの頃の私に言いたかった。学校、行かなくっていいよって」

動画を投稿したのは大手芸能事務所のホリプロ。東さんのほか、俳優や精神科医らのメッセージを「#学校に行きたくない君へ」とハッシュタグ(検索目印)を付けて発信している。

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子供を追い詰めないためには、安心できる「居場所」があることを知らせることが重要だ。

今月16日からは、子供を支援するNPO法人などが協力し、居場所を紹介するサイト「#学校ムリでもここあるよ」というキャンペーンも開始された。専用サイトでフリースクールや子供食堂といった学校以外の居場所や相談窓口の情報をまとめ、ホームページや交流サイト(SNS)などで発信している。

全国の児童館を支援する児童健全育成推進財団(本部・東京都渋谷区)も「#じどうかんもあるよ」とのハッシュタグを使い、9月16日までSNSなどでメッセージの発信を要請した。

各地の児童館が応じ、「ピアノが弾ける所」「第2の家」など児童館に対する子供の声を紹介したり、「電話でもかまいません。あなたのことを待っています」と呼びかけたりして児童館の利用を促している。

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文部科学省の調査によると、令和3年に自殺した小中高校生は473人。2年の499人から高止まりしている。2年の原因・動機を集計したところ、最も多かったのが「進路に関する悩み」(55人)。次いで「学業不振」(52人)となり、学校での問題が深刻であることが分かる。「親子関係の不和」(42人)も3番目に多く、家庭での問題も見過ごせない。

コロナ禍で「児童生徒の心が不安定になる」(文科省)との指摘もあり、永岡桂子文科相は児童生徒らに「人に相談することは決して恥ずかしいことではなく、社会で生きていく上で必要な大切なことです」とのメッセージを出した。

東京都港区の都人権プラザでは、いじめなどで亡くなった子供たちが投げかけた言葉や、残された家族らが子供に伝えたかったメッセージをパネルにして9月2日まで展示している。同プラザを運営する都人権啓発センターの中村雅行事務局長は「苦しいことがあれば、ためらわずに電話窓口などに相談してほしい」と子供たちに呼びかけた。(玉崎栄次)

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