水際対策緩和もインバウンド回復にはなお課題

オンラインで記者団の取材に応じる岸田文雄首相=24日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)
オンラインで記者団の取材に応じる岸田文雄首相=24日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)

岸田文雄首相は24日、水際対策の緩和にも言及したが、観光目的の入国を添乗員付きのパッケージツアーに限定するなど、厳格な対策は残ったままだ。本格的な訪日外国人観光客(インバウンド)需要の回復はまだ先になる見通しで、観光業界からは諸外国並みの水準への早期緩和を求める声が上がっている。

「訪日外国人のビザ(査証)免除や個人旅行の解禁も、G7(先進7カ国)各国並みに緩和されることを切望します」。ANAホールディングスの芝田浩二社長は同日、政府の方針を歓迎した上で、さらなる緩和の実施を求めた。

政府は今年6月、新型コロナウイルス対策で停止されていた訪日外国人観光客の受け入れを2年ぶりに再開。しかし、観光目的の入国者は低調なままだ。観光目的の場合は個人旅行は認められず、観光ビザの免除も停止されており、外国人旅行者が訪日を見送っているとみられる。

特に個人旅行の解禁は重要で、観光庁によると、コロナ前の訪日外国人旅行者の約7割が個人旅行で、訪日外国人旅行者向けのサイトを運営する「D2CX」(東京)が7月に行った調査でも、海外在住の外国人が緩和してほしい対策で「団体旅行への限定」が71%(複数回答)と最多だった。

日本総合研究所の内村佳奈子研究員は、中国が厳格な「ゼロコロナ」政策を続けるなど外国側の要因もあるといい「インバウンドがコロナ前に戻るのにはまだ時間がかかるだろう」と話している。(蕎麦谷里志)

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