FIGHT10 いきもの巡り

ブラッシングにバク「うっとり」 群馬サファリパーク

気持ちよさそうにブラッシングを受けるマレーバクのヒカル(雄)。みんなこれが大好きです(群馬サファリパーク提供)
気持ちよさそうにブラッシングを受けるマレーバクのヒカル(雄)。みんなこれが大好きです(群馬サファリパーク提供)

群馬サファリパークでは1979(昭和54)年に開園して以来、動物種の生息地ごとに主に7つのゾーンで構成される地域別展示を進めてきました。「繁殖」には力を入れていて、動物たちが見せる「子育て」や「家族愛」などの様子を、お客さまに見て感じ取っていただくため、群れ展示を充実させています。

キリンやシマウマ、サイといったサバンナの雰囲気が伝わる動物たちが暮らすのは、「アフリカゾーン」。中でも50頭ものアフリカスイギュウが群れを成している姿は迫力満点で、前回連載もで紹介させていただきました。

「ウォーキングゾーン」では、ヤギやラマなどの小動物に餌やりができ、トラやライオンに肉も食べさせることができます。そんな、ふれあい体験や飼育係による「もぐもぐタイム」も好評です。

ウォーキングゾーンでくつろぐライオンファミリー。人間の家族同様、平和そのものです(群馬サファリパーク提供)
ウォーキングゾーンでくつろぐライオンファミリー。人間の家族同様、平和そのものです(群馬サファリパーク提供)

「アジアゾーン」ではヒトコブラクダが12頭の群れで生活し、日本では当園にしかいないスマトラゾウを飼育・展示しています。インドネシアと共同繁殖計画という形で繁殖を目指しています。

同じエリアにいるマレーバクは順調に繁殖している種で、定期的に担当者がブラッシングを行う「ハズバンダリー・トレーニング」を実施しています。

難しそうな言葉ですが、動物へのストレスを限りなく小さくして診察できるようにする訓練(しつけ)のこと。健康管理といっても動物には分かりません。いやがるのを強制的に行うのではなく、動物たちができるだけ自発的に受け入れられるよう、当園ではブラッシングを通じて動物とのコミュニケーションを取っていて、日常の健康チェックなども可能です。メスの個体には妊娠判定でエコー検査も実施しています。

こうした試みは、すべての種が対象ではありませんが、動物福祉(アニマル・ウェルフェア)の観点から、動物にとって負担が少なくて、生活しやすい環境作りを目指すことが今後の方針です。

また「SDGs(持続可能な開発目標)」の取り組みで当園や動物園にできる取り組みはないか。例えば動物たちの糞(ふん)から堆肥を作り、それを活用して農作物(野菜など)を育て製品化させるといった一連のサイクルを持続して行う取り組みなど、今後の課題として、できることから実行したいと考えています。

そんな見どころ満載の当園へ、ぜひ、お越しください。

(群馬サファリパーク園長 北村昭二)

群馬サファリパークへのアクセス
群馬サファリパークへのアクセス

群馬サファリパーク】 群馬県富岡市岡本1▽開園時間=午前9時半~午後5時(11月~2月末=平日は午後4時まで、休日同4時半まで)▽入園料=高校生以上2700円、中学生~3歳1400円▽水曜休園▽コロナ対策=各トイレやレストランの壁は光触媒効果で除菌、各所にアルコール消毒液設置、接触箇所を中心に定期消毒▽0274・64・2111

FIGHT10(ファイト・テン)】 少子化や人口減による入場者数確保に悩む地方の動物園や水族館の課題解決に向け、北関東3県と福島県の10施設が連携した取り組み。動物との触れ合いを通し命の大切さを学んでもらうとともに、地域活性化を目指しスタンプラリーの他、持ち回りで移動動物園などのイベントを行っている。命名は福島(F)、茨城(I)、群馬(G)、栃木(T)4県の頭文字に「心の絆」を表すハート(HEART)のHをあてた。

10施設は以下の通り。

【福島県(F)】アクアマリンいなわしろ水族館、アクアマリンふくしま

【茨城県(I)】アクアワールド茨城県大洗水族館、日立市かみね動物園

【群馬県(G)】桐生が岡動物園、群馬サファリパーク

【栃木県(T)】宇都宮動物園、那須どうぶつ王国、栃木県なかがわ水遊園、那須サファリパーク

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