野球カードとNFT~Coinbase代表が語るクリプトの役割と可能性

今後は、さまざまな会社や組織がDAppsを提供していくと思いますが、「DeFiの文脈だとこういうものがありますよ」といった感じでわれわれでセレクトしたアプリケーションをラインナップし、アップストアやGoogleプレイのような感覚で使っていただくイメージです。

自分でコードを書いてブラウザにつなげたら同じことができますが、より使い勝手をよくし、さらにはハッキングのリスクも低減する役割を、ぼくたちが担えればと思っています。

NFTに関しても、この春からまずは米国でマーケットプレイスを展開したいと考えており、日本でも可能な限り速やかに展開していきたいと思います。

NFTに対する昨今の狂騒に関して、個人的に思うことがあります。ぼくは小学校・中学校と米国にいたのですが、そのころに買った野球カードをいまでも大切に持っています。例えばマーク・マグワイアの2年目のカードとか。野球カードって、専門誌があってキチンと値付けがされています。もちろん日本にもトレカの文化はありますが、米国には独特の収集癖というか、モノに対して独自の価値を見いだしてマーケットを形成する文化があって、そのあたりのマインドとNFTは、どこかで通底しているように思うんです。

野球カードって、ちょっとでも角が折れると値崩れします。だからぼくも、マグワイアのカードをプラスティックでしっかり保護しています。その点、NFTは最高ですよ! ずっとミントコンディションのままですから(笑)。「メッチャいいじゃん」って思います。昔もいまも、そういうカルチャーというかマインドに対して、シュアなかたちでサービスを提供しているだけで、そこに価値を見いだすかどうかは人それぞれですよね。実際、ぼくが小学生のときに買った野球カードって、原価は1セントもしないくらいだと思います。でも、後生大事に持っているわけです。そこに評価を見いだす適切なマーケットプレイスがあれば、そこで売ったり買ったりするのは個人の自由。むしろ贋作が出ないようにノンファンジブルにしているという時点で、もっといいものが出てきたわけです。

クリプトエコノミーの面白いところは、そうしたコンシューマー目線のサービスが生まれやすい点にあります。ただし、誰もがクリプトコミュニティに属しているわけではありません。コミュニティの外側にいるコンシューマーのウォンツを吸い上げ、代弁していくこともまた、ぼくたちの使命だと思っています。

北澤 直 | NAO KITAZAWA

Coinbase代表取締役。ペンシルべニア大学大学院修了。モルガン・スタンレー証券に投資銀行員として6年間在籍。それ以前は弁護士として6年間、日本とNYにて法律業務を手がける。2014年、お金のデザインの立ち上げにCOOとして参画。18年よりCoinbaseに参画。著書に『誰がFinTechを制するのか』〈KADOKAWA〉。


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