(※平成23年5月11日付 産経新聞に掲載)
1960年代、ニューヨークに進出して一世(いっせい)を風靡(ふうび)し、70年代から約30年間、モードの最高峰とされるパリのオートクチュール(高級注文服)界で存在感を示し続けた、日本人ファッションデザイナーのパイオニア。「ずっと走り続けてきた」人生をいま、ゆっくりと振り返り、このほど本格的自伝『グッドバイ バタフライ』(文芸春秋)にまとめた。そのチャレンジ精神を支え続けたものは―。
自分の中で「ニッポン」が大きな存在に
――自伝のタイトルにドキッとしました
森 もう(デザイナーを)やめるのかと、いろんな方からお手紙をいただきました(苦笑)。
――蝶(ちょう)はハナエ・モリの象徴。そもそも「Goodbye butterfly」は2004年夏、パリで最後のオートクチュールコレクションを発表された際、ヘラルド・トリビューン紙が記事に付けた見出しですね