草彅剛「自然と心温かく」 映画「サバカン」

「なんか難しいじゃないですか、お芝居って。いまだに緊張する」と話す草彅剛(石井健撮影)
「なんか難しいじゃないですか、お芝居って。いまだに緊張する」と話す草彅剛(石井健撮影)

19日公開の「サバカン SABAKAN」(金沢知樹監督)は、2人の小学生を主役に夏休みの冒険と友情を、独特だが、みずみずしいタッチで描く。大人になった主人公を演じるのが草彅=くさなぎ=剛(48)。ほんの短い時間しか出演しないが、「自然と心を温かくしてくれる」と作品について熱心に語る。

「ミッドナイトスワン」(内田英治監督、令和2年)で日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞に選ばれた後、最初の出演映画となる。が、主人公は子供たち。草彅の出番は、わずか10分ほど。

「もう、そんなに仕事も来ないから、来た仕事はやらないと家賃が払えなくなっちゃうでしょう?」

冗談めかして笑うが、実はこの作品には5年ほど前から関わっていた。もともとは金沢監督が故郷の長崎をモデルに書いた小説。当初、それを草彅が朗読し、ラジオで放送する企画が進行していた。

「これ、めちゃくちゃ良い話だなと感動した。泣きながら朗読して、放送されるのを楽しみにしていたのに、『中止になっちゃった』って。どういうこと? と思っていたら、映像化されるという。それなら、ぜひ出たいと」

売れない小説家の久田孝明(草彅)が、小学5年生だった昭和61年の長崎での夏休みを懐かしむ。「イルカを見に行こう」。クラスの嫌われ者だった竹本健次が突然訪ねてきた、あの夏の日を。

草彅は、映画の冒頭と最後に出るのみ。

「でもね、なんか楽しかった。台本も読まなかった。だって、分かるじゃない。小説を朗読していたんだから」

小学生時代の久田を番家一路=ばんか・いちろ(12)、竹本を原田琥之佑=こうのすけ(12)という、演技経験のなかった小学生が演じた。イルカが来るという海を目指す〝冒険〟の道中、2人はさまざまな大人たちと出会い、成長し、友情を深める。

「僕のデビュー年齢よりちょっと下ぐらい。どんな気持ちで撮影に臨んだか、よく分かる。でも、演技をしたことがない2人だからこそ醸し出せる、すばらしい雰囲気がある。監督がまた、上手にそこを切り取った」

その金沢監督はお笑い芸人出身で、大ヒットドラマ「半沢直樹」などの脚本、舞台の演出などを手掛けてきた。長編映画の監督は、これが初めてだ。

「家族愛にあふれ、日常の中にある喜びや悲しみを描いているから、ぐっときてしまう」と草彅。映画は冒険談で終わらない。休みが終わり、2人を待ち受ける運命。まさにぐっとくる。草彅が演じる大人になった久田の存在も重要な意味を持つ。

「コロナ禍にあって、一番大切なのは、心が温まり、健やかになれること。この映画は、自然とそういう気持ちにさせてくれるはずです」(石井健)

くさなぎ・つよし 昭和49年生まれ、埼玉県出身。平成3年、CDデビュー。映画は「黄泉(よみ)がえり」(塩田明彦監督)、「日本沈没」(樋口真嗣監督)、「あなたへ」(降旗=ふるはた=康男監督)など。テレビドラマもNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」など多数。Disney+の配信ドラマ「拾われた男」にも出演している。

19日から東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田などで全国公開。1時間36分。

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