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「ポイ捨て防止」へ 渋谷センター街に投票型喫煙所が登場

参加する感覚へ、発想の転換

改正健康増進法によって屋内が原則禁煙となり、新型コロナウイルス感染拡大のため屋外でも喫煙所閉鎖が相次ぐなか、路上喫煙や吸い殻のポイ捨てといった課題が浮上している。ルール作りや啓発活動ではなかなか減らないポイ捨てに、行動経済学の発想を応用し、能動的に灰皿に捨てるように促す“投票型喫煙所”が今年5月に登場した。“やらされている”から、参加する感覚へ―。発想の転換が、目に見える形で効果を上げており、根強いポイ捨て問題解決への糸口として注目されている。

渋谷センター街に週末限定で設置されている投票型吸い殻入れ。吸い殻でアンケートに回答する=いずれも東京都渋谷区
渋谷センター街に週末限定で設置されている投票型吸い殻入れ。吸い殻でアンケートに回答する=いずれも東京都渋谷区

投票型喫煙所が設置されたのは東京都渋谷区の渋谷センター街・宇田川クランクストリート(毎週土・日曜正午~午後9時、9月中旬までの予定)。短い私道だが死角が多く、吸い殻やごみが散乱していた。地元商店街が、清掃活動のほかアートイベントを開催している。

並べられた投票型吸い殻入れ5台には、『あなたが手に入れたいのは、どっちですか?A・永遠の愛、そして一文なし B・一獲千金、そして永遠の孤独』『喫煙所が増えると、ポイ捨ては減ると思いますか?A・YES B・NO』といったアンケートを記載。吸い殻を捨てる形で回答する。吸い殻量が見えるようになっており、たばこを吸わない通行人も回答状況を楽しめる。

質問は17項目を用意し、喫煙場所の利用頻度が高い人も飽きないよう工夫している。火災対策として、水の入ったトレーなども併設し、巡回も実施している。

英国の「投票式の吸い殻入れ」をヒントに

プロジェクトを手がけるのは、公衆喫煙所「THE TOBACCO(ザ・タバコ)」を展開するコソド(東京都渋谷区)。昨年12月から、インターネット上で、捨てられた吸い殻をモンスターに見立てて名前を付け、位置情報とともに投稿してもらう『ポイ捨て図鑑プロジェクト』を展開。その結果、渋谷センター街は、吸い殻が最も多いエリアだと判明した。

同社の山下悟郎社長は「街のポイ捨て状況を可視化したら、次は適切に捨ててもらう方法を考える必要がある。英国で設置されている投票式の吸い殻入れをヒントにした」と話す。

「喫煙所が増えると、ポイ捨ては減ると思いますか?」の質問。回答は「YES(はい)」が優勢=東京都渋谷区
「喫煙所が増えると、ポイ捨ては減ると思いますか?」の質問。回答は「YES(はい)」が優勢=東京都渋谷区

英国の環境保全団体「ハバブ財団」では、たばこのポイ捨て防止キャンペーンとして“バロット・ビン”と呼ばれる投票式の吸い殻入れを街に設置。『世界最高のサッカー選手は?ロナウド?メッシ?』といった思わず投票したくなるアンケートを記載することで、吸い殻のポイ捨てを46%減少させたという。

同社の目視調査によると、宇田川クランクストリートでも、設置前は1日平均約570本あった吸い殻が、設置後は同約60本に減少。空き缶など他のごみも減っているという。

山下社長は「ポイ捨ては、街の困り事の一つ。さまざまなルール作りをしてもなかなか効果が出ない。”やらされている”ではなく、楽しく参加する感覚が大切。自治体などへの吸い殻入れの貸し出しなどを検討し、データを集め、より良い分煙環境整備に役立てていく」としている。

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