鬼筆のスポ魂

ビッグボス、視線は早くも来季…オフの大補強なるか 植村徹也

試合に勝利して喜ぶ日本ハムの新庄監督=9日、札幌ドーム(三浦幸太郎撮影)
試合に勝利して喜ぶ日本ハムの新庄監督=9日、札幌ドーム(三浦幸太郎撮影)

日本ハムの「ビッグボス」こと新庄剛志監督(50)の来季続投が内定した。8月上旬、球団首脳がビッグボスに留任を打診し、新庄監督は内諾した。正式契約(1年契約の更新)は今シーズン終了後に行うが、すでに球団首脳と指揮官の視線は「勝負の年」となる来季に向けられている。

新庄監督は今季、2006年の現役引退以来、16年ぶりに指揮官として古巣の日本ハムに復帰。1年契約(年俸1億円=推定)でチーム再建に挑んでいた。108試合消化時点で44勝62敗2分けの借金18で首位・西武と13・5ゲーム差のリーグの最下位に低迷しているが、球団首脳は同監督の米大リーグ経験(メッツ、ジャイアンツ)で培った野球観や若手選手の育成能力、独特の発信力を高く評価し、来季続投を早々に決めた。

新庄監督は昨年11月4日に行われた就任会見で「選手兼監督として契約を結んでもらいました…。いや監督でした」とユーモアを交え、会場を盛り上げるとチーム作りについても言及した。「メンタル的なものに関しては引き出す力が自分にある。チームにピッチャー3人、野手4人のタレントを作り上げていけば。そのときはもう強くなっていると思う。夢はでっかく。根は太く。土台をしっかり作って、夢に向かって突き進んでいきたいというイメージ」と話していた。

就任1年目の今季は「根は太く。土台をしっかり作って…」の言葉通り、若手の競争を促し、中堅、ベテラン選手を突き上げ、奮起を促した。14日のロッテ戦(ゾゾ)では2度の失策(一塁悪送球)を犯した中島卓也内野手(31)を五回裏の守備からベンチに下げた。「あれは2つともね…。プロだったらしっかりアウトに取らないといけない」と懲罰交代の理由を説明。清宮幸太郎内野手(23)や万波中正外野手(22)ら若手だけではなく、ベテラン選手に対しても厳しい姿勢で臨んだ。それでも、混戦のパ・リーグの中で日本ハムだけが大きく取り残されているのが現状のチーム力だ。

「日本ハムはチームの方針として力の衰えた中堅やベテラン選手を容赦なく他球団に放出し、ポジションを空けて若手を起用してきた。新庄監督もチーム方針に従いながら若手を優先起用していた。しかし、まだ若手の力量が備わっておらず、戦力層が薄い。上位に食い込むチーム力が備わっていない」と球界関係者は話した。

新庄監督もチーム力の限界を悟ったのか、勝負の年に向けて今オフの大補強に言及。「積極的に仕掛けていきたい。(球団に)トライして欲しいと言いたい。全員取りにいったろうかな!」と話し、今季中に国内フリーエージェント(FA)資格を取得する他球団の選手を想定した。育成が基本方針の日本ハムはFA補強には消極的で、どこまで姿勢を変えられるかが指揮官の今後の〝交渉能力〟になる。

日本ハムは来季、東京から北海道・札幌にフランチャイズを移した2004年以来、使用していた札幌ドームを離れる。新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」(北海道・北広島市)に移転し、新球場初年度に2016年以来、7年ぶりのリーグ優勝を目指す。現侍ジャパン監督の栗山英樹前監督(61)から稲葉篤紀ゼネラルマネージャー(50)=前侍ジャパン監督・東京五輪で金メダル獲得=へのバトンタッチという球団の規定路線を変更してまでビッグボスを監督として招いた裏側には、新球場での興行面を考慮した…という情報がある。チーム成績もファン動員には影響する。ビッグボスの「大補強プラン」を球団側はどこまで容認するだろうか。

「来季も続投」で同意したビッグボスと日本ハム球団だが、今後の戦力編成方針が合致しなければ、ギクシャクとした空気が残らないとも限らない。(特別記者)

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