主張

タリバン復権1年 「テロの温床」は許されぬ

アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンが首都カブールを制圧し、権力を掌握してから1年が経過した。

タリバンによる恐怖支配が復活し、同国が再び「テロの温床」に逆戻りするのではないかとの国際社会の懸念は早くも現実化しつつある。

バイデン米政権は今月1日、国際テロ組織アルカーイダ指導者のアイマン・ザワヒリ容疑者を武装無人偵察機で殺害したと発表した。

タリバンは2020年2月の米国との和平合意で、アフガンをテロの温床にしないと約束した。これを受け、アフガン駐留米軍は昨年8月30日に完全撤収した。

だが、カブール市内に潜伏していた容疑者は、タリバンにかくまわれていた疑いが濃厚だ。タリバンがテロリストの活動を認める限り、国際社会が同国を正式な政府として承認することはあり得ないと認識すべきだ。

バイデン政権がザワヒリ容疑者を殺害したのは当然である。そもそも米国が21年前、アフガンに進攻したのは、タリバンが同国内にかくまっていた当時のアルカーイダ指導者、ウサマ・ビンラーディン容疑者(11年5月に米軍が殺害)が、01年9月11日の米中枢同時テロを引き起こしたからだ。

アフガン国内でイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)による爆弾テロが後を絶たない事態にも警戒が必要だ。

タリバンによる独自のイスラム教解釈に基づく統治は、国民を再び苦境に追い詰めている。日本の中学・高校にあたる中等教育の学校から女子生徒を締め出し、テレビの女性キャスターには顔を覆うよう命じた。

また、ロシアによるウクライナ侵略の影響で小麦や石油の国際価格が急騰し、国民生活は困窮している。経済の破綻に加え、タリバンによる過酷な統治で人心が荒廃すれば、テロリストが社会に浸透する余地を生みかねない。

バイデン大統領は、今回のザワヒリ容疑者の殺害で「アフガンがテロリストの逃避先になることはない」と強調した。だが、油断は禁物である。

駐留米軍や北大西洋条約機構(NATO)を中心とする国際部隊がアフガンから完全撤収した現在、国際社会はタリバンが米国との和平合意を順守するように厳しく監視する必要がある。

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