海の〝前線〟が豪雨誘発 上昇気流、積乱雲つくる

東シナ海の洋上で、上空の気温や水蒸気量などを測る観測機器を揚げる三重大の学生=6月(同大の立花義裕教授提供)
東シナ海の洋上で、上空の気温や水蒸気量などを測る観測機器を揚げる三重大の学生=6月(同大の立花義裕教授提供)

潮流の影響で温度の異なる海水と空気の塊が生じ、水面付近でぶつかり合う〝前線〟のようになることで豪雨が誘発される可能性があることが18日までの立花義裕三重大教授(気象学)らの調査で分かった。上昇気流が生まれて大気中の水蒸気が上空に押し上げられ、積乱雲や線状降水帯の源となっているらしい。立花教授は「豪雨を正確に予測するために、海洋上の観測を増やすことが不可欠だ」と訴えている。

線状降水帯の発生原因を探るため、6月中旬から7月上旬にかけて東シナ海で海水温や大気中の水蒸気量を観測した。

南から上がってくる暖流(黒潮)の流れの内と外の水温差は約4度。温度の高い内側から、低い外側に向かって風が吹くことも確認した。海水面近くで暖かい空気と冷たい空気がぶつかり、上昇気流が発生した可能性が高いとしている。

上空12キロまでの湿度は晴雨に関係なく約90%に保たれており、低気圧が近づくと線状降水帯に匹敵する豪雨となった。「海の前線と低気圧の相乗効果で大量の水蒸気が持ち上がって積乱雲となり、大雨を降らせたのだろう」(立花教授)

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