欧州、省エネ急ぐ 「料理に余熱を」露産ガス供給減で

欧州では、ウクライナ危機でロシアがガス供給を大幅削減したのに対応し、各国が省エネを急いでいる。

ドイツ政府は6月、ガス供給の不安が高まっているとして、「非常警報」を発令した。ロシアがドイツへの主力ガスパイプライン「ノルドストリーム」による供給を6割削減すると発表したのを受けた措置で、緊急調達計画に基づく3段階の2番目にあたる。

政府は国民向けの省エネキャンペーンを実施中で、「シャワーは5分以内」「料理には余熱利用を」などと呼びかけている。首都ベルリンは、観光地の旧王宮など200カ所で夜間照明を停止。公共施設での暖房や給湯の制限を決めた自治体もある。

ドイツでは警報が最高の「緊急事態」になるとガス供給先に優先順位を設け、配給制度が導入される可能性がある。ガスの高熱炉が欠かせないガラス、鉄鋼産業で不安が高まっている。

スペインでは今月1日、官民で省エネを進める政令が閣議決定された。公共施設のほか、飲食店や映画館などの商業施設を対象に、冷房は27度以上、暖房は19度以下に設定するよう基準を設けた。無人の公共施設、店舗のショーウインドーは午後10時以降の消灯が定められている。猛暑が続く中、サンチェス首相は記者会見でネクタイなしの出勤を呼びかけ、「私もタイなしです。エネルギーが節約できる」と訴えた。

イタリアでも、政府が「サーモスタット作戦」と名付けた省エネ作戦を実施しており、公共施設の空調は19~27度とする基準を設けた。

欧州連合(EU)は先月の閣僚理事会で、ガス消費量を全加盟国が自主的に15%削減することを定めたEU規則を採択した。EUレベルの警報が発動された場合、削減を義務化する条項をめぐって、反対が相次いだ。当初案は、欧州委員会が警報を発動する内容だったが、加盟国が「押し付け」に警戒を示し、閣僚理事会に発動権が移った。また、ガスを十分に貯蔵している国には削減義務の免除を認めるなど、多くの例外措置が設けられた。(パリ 三井美奈)

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