地方に勝機

長野県自慢の商品 憧れのパリで直販へ 支援機構が本格始動

長野県内の食材を使った調理例=長野県佐久市(原田成樹撮影)
長野県内の食材を使った調理例=長野県佐久市(原田成樹撮影)

長野県の食品メーカーなどが欧州で自ら販路を開拓することを支援する「長野欧州貿易支援機構」(佐久市)が本格始動した。各社が直接、欧州で取引を行うことを基本とし、必要な手続きについてのセミナー開催や現地展示会への共同出展など「商工会議所的」な役割を担う。来春までに仏パリ中心部にアンテナショップも出店する計画だ。

自らの手で販売

機構の立ち上げに奔走してきたのは、佐久市でレストランなどを運営するジャンリッツ社長の笹沢幸司さん(47)。同機構の代表理事を務める。新型コロナウイルス禍で売り上げが低迷している長野県の食品会社に欧州進出への手助けができないかと、旧知のパリ在住の飲食コンサルタント、佐藤大輔さんと相談するうちに構想が具体化した。

8月上旬までに、栗菓子の桜井甘精堂(小布施町)▽唐辛子の八幡屋磯五郎(長野市)▽寒天メーカーの伊那食品工業(伊那市)▽日本酒の橘倉酒造(佐久市)▽農業法人グリーンノーツ(同)-の5社が機構の正会員になった。佐久市など6自治体も行政会員として賛同する。今後も企業や団体に入会を広く募っていく。

世界ブランドへ

機構の理念は「誇りと可能性は次世代の新しい資産となり、クラフトマンシップと文化は継がれる、憧れへの熱い想いと実現が未来を創る」。自分たちの商品を欧州で売りたいとの熱い思いを持つ人が集まる学びの場としていく考えだ。

「商社を通して展開すると利益の多くは商社のものになり、現地での評価も蓄積しない。価値を認め、価格は後でついてくる欧州市場で、自分たちの商品を誇りをもって売ってほしい」と笹沢さん。欧州での実績はブランド力を高めることになり、国内販売にも良い影響を与える「ブーメラン効果」があるとみる。食品以外に工芸品なども対象とする。

機構では会員向けに輸出の手続きなどの定期セミナーを開催するほか、海外展示会の出展支援、会員同士のコラボレーションなどを促す。

今月9日に行われた総会では、元長野県総務部長で佐久市副市長も務めた小池茂見さんが理事長に就任し、佐藤大輔さんが欧州顧問に就いた。その場で、パリ中心部で来年春までに、そばを食べられて、会員の食品などをテスト販売するアンテナショップを開店する計画が発表された。10月にはパリで、来年にはリヨンでの展示会へも出展を予定している。

長野欧州貿易支援機構の総会後に開かれた県産食品の試食会=9日、長野県佐久市(原田成樹撮影)
長野欧州貿易支援機構の総会後に開かれた県産食品の試食会=9日、長野県佐久市(原田成樹撮影)

価値に見合う対価

笹沢さんが強調するのは、ものの価値を認めてもらい、適正な対価を享受すること。特に国内では、価格競争に陥りがちな状況を憂う。

機構は、ドイツで一時絶滅が危惧されたブタの「シュヴェービッシュ・ハル」種を協同組合体制による品質管理などでブランド化することに成功した生産者組合「BESH」と提携。長野県内にBESH社のハムなどの商品を扱うアンテナショップも出店する予定だ。同社から、ものづくりの理念を学ぶのが狙いだが、将来、ドイツでBESH社が経営する食料品店で長野県産食品を取り扱ってもらうことも視野にあるという。

長野県と欧州は気候や作物も似ていて、ともに環境問題にも敏感。共感するところも多そうだ。活動の詳細は同機構サイト(https://www.nuejapon.org)。(原田成樹)

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