都民の警察官 横顔

(1)品川署生活安全課 小林鉄男警部補(54) 相談者の本音を引き出す

品川署生活安全課生活安全相談係として、ストーカー事案などの相談に対応する小林鉄男警部補=品川署
品川署生活安全課生活安全相談係として、ストーカー事案などの相談に対応する小林鉄男警部補=品川署

ストーカー、家庭内暴力(DV)、近所との騒音や越境トラブル…。生活に密着したあらゆる相談を受け付ける生活安全課生活安全相談係として、常に「相手の本音を引き出すこと」を心がけている。

相談内容は必ずしも警察だけで完全に解決できるものとは限らないが、長いときには半日もの時間をかけて、相談者の声にじっくり耳を傾ける。相談内容はプライベートに深く踏み込むものもあり、時間をかけて信頼を得るという。

今年1月末に統括係長に着任し、すでに約400件の相談に対処。着任早々、インターネット上でのストーカー被害の相談があったが、前任の生活安全総務課ストーカー対策室での経験を生かし、地道な捜査で加害者を特定。加害者に対してストーカー規制法に基づく警告をしたほか、直接会って説得するなど、迅速に対応した。「ストーカー事件はスピードが命。重大事件につながる恐れもあり、相談者の身の安全を第一に考える」という。

数々の事件に心血を注いできたが、ストーカー事件の捜査に邁進(まいしん)するきっかけとなった事件がある。東京空港署員だった平成27年、航空会社の地上職員の女性が、見ず知らずの人物に公衆電話から好意やみだらな発言を受ける被害があった。捜査で犯人は女性の会社が契約するタクシー運転手と突き止め、逮捕。初めて扱ったストーカー事件だったが、被害者が抱く危機感と不安の大きさに直面し、ストーカー事件に関わる責任の重さを実感した。

生活相談に訪れる住民には、「親にも相談できず、1人で不安や恐怖を抱え込んでくる方がいる」という。すべてを語りたがらない人もいる中で、警察の原点である「声なきに聞き、形なきに視る」という姿勢で向き合い、できる限り力になりたいと願っている。

「人の役に立つ仕事がしたい」と自衛官だった父親に影響を受け、警視庁の門をたたいてから35年。「あと5年で還暦だが、残りも一生懸命頑張りたい」。決意を新たにした。(王美慧)

こばやし・てつお 神奈川県出身。昭和62年入庁。世田谷署、第3機動隊、生活安全総務課ストーカー対策室などを経て、令和4年1月から現職。家族は妻、長女、長男。趣味は地元の海辺で妻と2人で散歩したり、買い物に行ったりすること。

第92回都民の警察官表彰式が24日に行われるのを前に、受章が決まった5氏の経歴などを紹介する。

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