菅前首相、積極的に地方行脚 政策実現「圧力」にも

視察先のブドウ畑で、長崎幸太郎山梨県知事(左)らとともにシャインマスカットをほおばる菅義偉前首相=18日午後、山梨県山梨市(大島悠亮撮影)
視察先のブドウ畑で、長崎幸太郎山梨県知事(左)らとともにシャインマスカットをほおばる菅義偉前首相=18日午後、山梨県山梨市(大島悠亮撮影)

自民党の菅義偉前首相が地方視察を精力的にこなしている。18日には山梨県を訪れ、フルーツの海外輸出や脱炭素社会の実現に向けた取り組みの現場を視察した。安倍晋三元首相の死去後、テレビや雑誌などの出演依頼が相次ぎ、露出は増えている。無役でありながら菅氏の存在感は高まっており、岸田文雄政権の政策実現を後押しする一方で、圧力にもなりそうだ。

菅氏は同日、同県山梨市のJAフルーツ山梨の選果場を訪れ、職員から県産ももの輸出状況や販路拡大に向けた戦略などの説明を受けた。同市では、アジアへの輸出を進めるブドウ農家にも足を運んだ。

農産品の海外輸出促進や脱炭素は、菅氏が官房長官や首相時代に注力した政策分野だ。昨年は農産品の輸出額が年間で初めて1兆円を超えた。菅氏は視察後、同市内で記者団に、輸出が「順調に進んでいる」と強調。「しっかりとした実績を示すと同時に、視察によって途中経過を国民に示していくことが大事だ」と語った。

山梨県産ももの輸出状況などについて説明を受ける菅義偉前首相(中央)=18日午前、山梨県山梨市のJAフルーツ山梨後屋敷共選所の輸出もも加工センター(同県提供)
山梨県産ももの輸出状況などについて説明を受ける菅義偉前首相(中央)=18日午前、山梨県山梨市のJAフルーツ山梨後屋敷共選所の輸出もも加工センター(同県提供)

菅氏は来週も北海道を訪れ、地熱発電やふるさと納税の成果が出ている地域を視察する予定だ。自らが進めた政策の成果を確かめ、今後も後押しする狙いがあり、菅氏は周辺に「現場をじかに見ることが大事だ」と説く。

10日の党役員人事・内閣改造では、菅氏自身は役職に就かなかったものの、親しい議員が複数登用された。森山裕選対委員長は菅政権で国対委員長として中枢を担った。萩生田光一政調会長も政権を最後まで支え、今も太いパイプがある。菅氏の肝いりで設立したデジタル庁のトップには側近の河野太郎デジタル相が起用された。

菅氏の得意分野で党や政府との連携の幅が広がり、間接的に影響力が高まったとの見方がある。

一方、今の岸田政権は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と新閣僚らの接点が明らかになり、内閣支持率は下落傾向にある。菅氏は政権を支える姿勢を崩さないが、党内の非主流派に強い影響力を持つ。菅氏が存在感を発揮すれば、自民全体を引き締める効果も見込まれる。

最近は安倍氏の関連でも露出が増えており、遺志を継ぐ「後継」の色合いも強めている。(大島悠亮)

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