朝晴れエッセー

高校球児の涙・8月18日

コロナ禍の中、夏の高校野球の熱戦が繰り広げられています。私も40年以上昔、甲子園を目指す高校球児の1人でした。

前年に甲子園出場を果たし、当然その年も甲子園出場を期待されていました。しかし、準決勝で格が下の伏兵に敗れ、ベンチ裏のロッカールームで大泣きに泣きました。

よく実況でアナウンサーが「選手たちは悔し涙を流しています」などと言っていますが、悔しさだけで泣いているのではないんです。「野球に明け暮れた2年半が終わってしまうんだな」とか、「もうこの仲間で高校野球をやることはないんだな」と思うと、自然に涙があふれてきてしまうのです。

あの日、呆然(ぼうぜん)と家に帰った私に、母が何も言わずにサイダーを出してくれました。体調管理のため炭酸飲料をやめていたのです。それを見たとき、「やはり高校野球生活が終わってしまったんだな」と思ったことをテレビの高校野球の中継を見ていて、なぜかはっきりと思い出しました。

その年敗れた後の記憶があまりないのですが、自分の中でもう夏が終わっているのに暑い日が続くのが嫌で、早く涼しくなってくれと思い続けていたことも同時に思い出しました。

敗れた選手たちは今はつらいでしょうけれど、その経験がこれからの実生活での糧になっていくことを願っています。


小坂井巌(62) 新潟県長岡市

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