インターネット市場を寡占し、公正な競争を阻害しているとして、世界で規制強化や訴訟が進むデジタルプラットフォーマー。特に、グーグルをはじめとする検索エンジンの影響力は計り知れない。私たちはネットから適切な情報を得ているのか。SEO(検索エンジン最適化)コンサルティング「so.la」の辻正浩・代表取締役と、メディア法や情報法が専門の水谷瑛嗣郎・関西大学准教授に聞いた。
「一強」の監視重要 辻正浩・so.la代表
日本国内の検索サービス市場は平成22(2010)年、大きく転換した。ヤフージャパンを運営しているヤフーとグーグルの提携により、ヤフー検索にグーグルのアルゴリズムが採用された。世界的にはヤフーの検索サービスはマイクロソフトのビング(Bing)の採用が多いが、日本市場を競っていたシェア1位と2位の検索エンジンが同じグーグルのアルゴリズムで動くようになったのは珍しい。この提携以降、グーグルの独占が一気に進み、日本では検索エンジンのアルゴリズムとしては「グーグル一強」という不健全な状態が続いている。
インターネットへのアクセス方法の大半を占める検索エンジンはグーグルもしくはグーグルのアルゴリズムを採用したものが95%を占めており、「情報源の偏り」「企業への強すぎる影響」「発信される情報自体が左右される」といった3つの問題が浮かび上がる。
具体的には、グーグルが偏った情報を優先表示した場合、情報の多くは偏ったものとなる。もし、新型コロナウイルスのワクチンの検索結果について、主に反ワクチンを上位表示させていたなら、反ワクチンの考えに染まっていく人は少なくないだろう。