囲碁界で相次ぐ年少棋士採用のワケ 世界への対抗、人気拡大のテコ入れ…

囲碁の最年少プロ棋士になる藤田怜央さんが会見。(写真左から)師匠の星川拓海五段、藤田怜央さん、父の陽彦さん=17日、大阪市中央区(南雲都撮影)
囲碁の最年少プロ棋士になる藤田怜央さんが会見。(写真左から)師匠の星川拓海五段、藤田怜央さん、父の陽彦さん=17日、大阪市中央区(南雲都撮影)

関西棋院から史上最年少となる9歳4カ月の棋士が9月に誕生する。平成31年には日本棋院から仲邑菫二段(13)が10歳0カ月でプロ入りした。通常の手続きを省略し、将来有望な小学生を抜擢(ばってき)する制度を両団体が相次いで設けた。若手を起用する背景には、中国や韓国に後れを取る棋力の底上げや、若手が活躍することで囲碁人気の復活を狙う思惑がある。

囲碁界では10代半ばでプロ(初段)になるのが一般的。プロになるには日本棋院か関西棋院の院生になり、一定の成績を挙げる必要がある。年齢制限があり、日本棋院は原則17歳、関西棋院は18歳までに入段(プロ入り)しなければならない。院生に属していない人も、年齢制限はあるが採用試験を受けることもできる。

14歳で入段した日本棋院の大橋成哉七段(32)は「16歳前後で入段する棋士が多いのでは」と話す。「自分の頃は中学生でプロになれないと一流になれないといわれた時代」と振り返る。囲碁界の第一人者、井山裕太四冠(33)は12歳10カ月の入段だ。

かつて日本囲碁界は世界最強だったが、近年は中国や韓国に押され、海外のメジャー棋戦上位から遠ざかっている。海外は低年齢化が進み、中国の柯潔(かけつ)九段(25)が10代で「世界最強」と呼ばれるなど実績を残す棋士が多く、層も厚い。世界の舞台で戦う井山四冠はベテランに入る。

「早くプロにさせて対局させると成長は早い。院生だけでは時間がかかる」と指摘するのは一力遼棋聖(25)や芝野虎丸九段(22)など数々のトップ棋士を輩出した名門「洪(ほん)道場」の総師範で関西棋院所属の洪清泉(ほんせいせん)四段(40)。仲邑二段も成長著しく、7月に女流タイトルまであと1歩に迫るなど活躍し「プロになってさらに強くなった」と目を見張る。

そして、若手起用により低迷する囲碁人気の回復も狙う。昭和56年には1200万人いたとされる囲碁人口は令和元年に230万人、2年には180万人にまで減ったとするデータもある。将棋界は、藤井聡太五冠(20)の活躍で盛り上がっており、指さなくてもネット観戦などを楽しむ「観(み)る将」と呼ばれるライトなファン層も現れた。関西棋院の滝口政季九段(59)は「囲碁界にも若いスターが必要だ」と話した。

9歳4カ月 大阪の藤田怜央君プロ入り 国内最年少、中韓の記録抜く


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