主張

GDPの回復 物価高への警戒を怠るな 

今年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値が、前期に比べて年率換算で実質2・2%増となり、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準をようやく回復した。

3月には「蔓延(まんえん)防止等重点措置」が全面解除され、5月の連休も3年ぶりに行動制限がない状態で迎えた。旅行や飲食などのサービス消費が拡大し、個人消費が伸びた影響が大きい。

これで3四半期連続のプラス成長を記録したが、日本経済にまだ力強さは戻っていない。足元では再びコロナ感染が拡大しており、先行きは楽観できない。

さらに世界的なエネルギー価格や食料価格などの高騰を受け、国内の消費者物価も上昇傾向を示している。物価高が景気に与える影響にも警戒が欠かせない。

日本経済を着実に回復させるには、やはり継続的な賃上げを通じて個人消費を活性化するのが本筋である。政府は企業による積極的な賃上げを促し、その環境整備に全力を挙げてほしい。

4~6月期の実質GDPの年換算の実額は542兆円となり、コロナ禍前の令和元年10~12月期の540兆円を上回った。買い物や旅行、飲食などの消費活動が旺盛で、高級腕時計や宝飾品などの伸びも目立った。

また、企業も脱炭素やデジタル化投資を活発化させている。4~6月期決算でも、円安を背景にして輸出企業など上場会社の4社に1社が最高益を更新する勢いだという。将来の成長に資する投資が不可欠だ。

ただ、ロシアによるウクライナ侵略などでエネルギー価格は急激な上昇を見せており、企業や家計の負担は重くなっている。とくに家庭用の電気代は前年に比べて3割前後も値上がりしており、こうした中で賃金が上がらなければ、家計は圧迫されるばかりだ。

一方で欧米ではインフレ抑止のために金利が引き上げられ、経済成長はマイナスに転じつつある。海外経済が落ち込めば、円安で輸出を伸ばしてきた日本企業にとっても打撃は避けられない。業績の先行き不安は残ったままだ。

資源高と円安の進行に伴い、国内所得の海外流出が加速しており、これも景気回復の足かせとなりかねない。岸田文雄政権にはコロナ対策を進めながら、社会・経済活動を正常化させる取り組みが改めて問われることになる。

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