【ワシントン=坂本一之】バイデン米大統領は16日、気候変動対策や薬価引き下げ、財政赤字削減などを盛り込んだ4300億ドル(約57兆7千億円)規模の「インフレ抑制法案」に署名し、同法は成立した。バイデン氏と与党の民主党は11月8日の中間選挙に向け、同法による経済効果を訴えて支持拡大を狙う。
バイデン氏は、ホワイトハウスでの署名式で演説し「米国民の勝利だ。この法律は米国の家庭に繁栄をもたらす」と訴えた。
同法は、「歴史的」な投資と位置付ける気候変動対策に約3700億ドルを計上。再生可能エネルギーへの投資を進め、電気自動車(EV)や太陽光パネルなどへの税優遇で購入を後押しする。一般家庭の生活費を抑えるため、薬価の引き下げも盛り込んだ。
また、財政改善に向け、巨大企業に対する最低税率15%を導入し、富裕層への課税も強化する。政権は、7千億ドル規模の歳入増を見込んでいる。
物価高騰への不満が国民の間に高まる中、バイデン氏は薬価引き下げや電気自動車の購入支援などで生活への負担が軽減されることをアピールしたい考えだ。一方、野党の共和党は同法に物価抑制の効果は薄く、課税強化が経済に悪影響を与えると批判している。