公明「親中」イメージ封印 橋渡し役自負も演習は批判

公明党が中国との距離感に頭を悩ませている。公明は昭和39年の結党以来、中国共産党と親密な関係を築き、日中友好の橋渡し役を自負してきた。ただ、今年は日中国交正常化50周年を迎えたものの、両国の関係は冷え切り、改善の糸口は見えない。日本国内の世論は中国に厳しい目を向けており、公明は「親中」のイメージを封印せざるを得なくなっている。(千田恒弥)

「中国は軍事的な行動を拡大し、台湾周辺での軍事演習を行い、わが国の排他的経済水域(EEZ)にミサイルを5発撃ち込んでくる挑発、牽制(けんせい)を行った」

山口那津男代表は15日、東京・池袋で街頭演説し、ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けて中国軍が実施した台湾周辺での軍事演習を厳しく批判した。山口氏が中国の行動に批判的な言葉を使うのは珍しい。

公明が親中派と指摘されるのは、歴史的な背景があるからだ。原点は結党の際、党の支持母体となった創価学会の池田大作会長(当時)の意向を踏まえ、「中華人民共和国」の正式承認と中国との国交回復を活動方針に掲げたことにある。47年7月には、当時の党トップだった竹入義勝委員長が訪中して周恩来首相と会談し、同年9月の日中共同声明の調印に向けた地ならしを行った。

日中関係が「戦後最悪」とまでいわれた平成25年1月には、山口氏が当時の安倍晋三首相の親書を携えて訪中し、習近平・中国共産党総書記と会談して対話の糸口を探っている。

公明が関係を大事にするあまり、中国に配慮したとみられる例もあった。今年2月に衆院で採択された中国政府による人権侵害行為を非難する国会決議をめぐっては、公明の意向を踏まえ、決議文から「人権侵害」「非難」といった強い表現が削られた。

ただ、公明が先の参院選に苦戦したことで、状況は変わりつつある。比例代表の得票数は昨年10月の衆院選に比べ、大幅に減少。党勢回復には創価学会の岩盤支持層だけでなく、「幅広く保守層を取り込まなければならない」(党幹部)との危機感が広がった。

山口氏は今月2日の記者会見で、「対話が復活できる状況を作り出したのも公明だったと自負しており、50周年の節目も大切にしていきたい」と述べ、日中関係の改善に意欲を示した。

ただ、「両国のお互いの国を見る国民感情は必ずしも良好ではない」とも付け加え、苦しい胸の内ものぞかせている。

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