キャンパス訪問

多様な役割担う文化交流拠点 早稲田大学国際文学館

「物語を拓こう、心を語ろう」をコンセプトに国際色豊かな“文学の家”を目指す『早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)』(東京都新宿区)が昨年10月、早稲田キャンパス内に開館した。卒業生の作家、村上春樹さんが寄託・寄贈した書籍や執筆関連資料、レコードなどを公開するだけではなく、国内外の文学や映像、音楽といった文化交流拠点としての役割を担うキャンパスの新名所になっている。

早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)の階段本棚
早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)の階段本棚

旧4号館を改修した真っ白な建物に曲線を描いた庇(ひさし)が絡みつく。建築家の隈研吾さんが設計を担当した。隣接するのは昭和3年開設の『坪内博士記念演劇博物館』。近くには『同大歴史館』も立ち並ぶ。キャンパスをミュージアム化するという同大の目標を具現化したエリアとなっている。

風通しよく自由に、楽しさを味わえる空間に

建物に入ると出迎えてくれるのは、1階と地下1階をつなぐ階段本棚。村上作品や海外の文学作品が陳列され、文学という切り口からの“世界”が作り上げられている。

蔵書は村上作品の初版本や翻訳本、関連書など約3千点。書評やインタビューなどの資料もあり、言語は50以上にものぼる。村上さんが収集したレコードなども所蔵している。

館内には村上さんの書斎を再現したエリアやオーディオルーム、学生が運営するカフェもあり、テーマに応じた収蔵品展や対談、ライブといった催しが企画されている。また、文学研究の拠点として、研究者や学生のフィールドとしての活用も進んでいる。

同大文学学術院教授の十重田裕一館長は「村上作品ファンをはじめ、音楽や建築が好きな人、留学生や受験生など、多様な目的で人が集まっている。風通しよく自由に。リラックスして、それぞれの楽しさを味わえる空間にしていく」と話している。

入館は時間帯ごとに事前予約の定員30人、当日受け付け10人。詳しくは同館ホームページへ。

>早稲田大学国際文学館ホームページ

会員限定記事会員サービス詳細