主張

学校の半旗 弔意を妨げる方が問題だ

安倍晋三元首相が先月銃撃されて亡くなったことを受け、教育委員会が公立学校に国旗の半旗掲揚を求めたことに異論や批判が出ている。弔意を表す半旗掲揚のどこが悪いのか理解に苦しむ。

「教育の中立」を損なうことが批判の理由というが、弔意を妨げる不当な主張を学校に押し付けることこそ政治的であり、教育の中立を脅かす。

教委の半旗掲揚の求めは、自治体が公共施設などに半旗掲揚を要請したことを受けたものだ。

東京都は7月11、12日の安倍氏の通夜・葬儀(家族葬)に伴い、都庁本庁舎で半旗を掲げるとして総務局が都所管の事業所などに半旗掲揚の配慮を求める事務連絡のメールを各部署に送信した。

都教委も都立学校にこの連絡を転送した。弔意を表すのは当然である。これに対し一部のメディアが批判的に報じたほか、自治体の首長会見などでも質問が出た。

仙台市でも総務局からの要請を受け、教委が市立校に半旗掲揚を求めた。郡和子市長は今月9日の記者会見で「憲政史上最長の首相で、東日本大震災からの復興にも尽力いただいた。弔意を表すため当然と考えた」と明確に語った。郡市長の考えを支持する。

教育基本法が特定政党の支持など学校の政治的活動を禁じていることに関連しても、郡市長は「政治的行為とは捉えていない。各学校が判断するもので、強制するものでは全くない」と答えた。

川崎市の2日の定例市長会見でも福田紀彦市長が「弔意を示す行為で、政治的中立は侵していない」と述べている。

半旗掲揚に対して一部の教職員組合が「教育と政治は分離すべき問題だ」などと申し入れる動きもある。それこそが政治的介入であり、いいがかりであろう。学校では入学・卒業式などの国旗掲揚、国歌斉唱に反対する一部教員らがいる。こうした礼を失した行為こそ政治的中立を損なう。

9月には安倍氏の国葬が行われる。国民の支持を得て長く政権を預かった元首相を国として追悼するばかりでなく、日本が「暴力に屈せず、民主主義を守り抜く」(岸田文雄首相)姿勢を内外に示す意義が大きいことを本紙は指摘してきた。

国葬の際には各学校でも半旗を掲揚し、その死去に背を向けることのないように願う。

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