<独自>高校の「情報」指導でIT人材バンク活用へ 文科省

文部科学省
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プログラミングなどを教える高校の「情報」で深刻な専門教員不足が続く中、文部科学省が、運用開始へ向けた準備が進むIT(情報技術)業界の人材バンクから専門家を派遣してもらい、一部の授業を受け持ってもらう方針を固めたことが16日、分かった。専門教員の効果的な配置が進まない上、情報で扱う内容の一部は進歩が著しく専門性が高いため、指導の充実には専門家のサポートが不可欠と判断した。

高校では令和4年度、新学習指導要領がスタートし、「情報Ⅰ」が共通必修科目となった。新要領で学ぶ高校生が初めて臨む7年度入学に向けた大学入学共通テストでは出題対象に情報を追加。国公立大も受験で情報を加えた6教科8科目の共通テスト受験を原則とすることを決めている。

教育現場でのIT指導をめぐっては、経済産業省が設置した検討会が、デジタル関連部活動を運動部や文化系部活動同様に、地域団体に委ねる方向性について議論。4年3月にまとめた提言では、IT業界による部活支援に向けた人材バンク設立の必要性を指摘した。

この提言を受け、7月には検討会の座長を代表理事とする「デジタル人材共創連盟」が発足。デジタル部活動に派遣可能な専門家の情報を蓄積する人材バンクの準備を進めている。文科省はこの人材バンクから高校の情報の授業にも専門家を派遣してもらう方針。

情報を教える免許を持つ教員数は自治体間で格差があり、特に地方での人材不足が目立っている。また高校の情報にはデータサイエンスなど近年の進歩が著しく、専門性が高い分野も含まれるため、最新の知見を専門家に示してもらうことが、授業の質を高めることになる。

文科省は、「教員だけでは十分な指導が行えない可能性がある」(担当者)として、人材バンクから派遣された教員免許を持たない専門家に、教員の指導をサポートしてもらう形を想定している。

文科省では4年度に入り、情報の授業充実に向けた特設のホームページを更新。授業での外部人材活用法を例示しており、人材バンクの運用が始まり次第、この仕組みに組み込む。

高校の「情報」

共通必修科目となった「情報Ⅰ」は、コンピューターの仕組み、モデル化とシミュレーション、アルゴリズムとプログラミングなどを学び、情報社会に主体的に参画するための資質・能力を育成することを目指す。新学習指導要領では、ITを活用して問題を発見・解決する方法について理解を深め技能を習得することや、情報社会と人との関わりについての理解を深めるようにすることなどを目標に挙げている。

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