探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰り、生命の材料となる有機物が見つかった砂粒は、原始太陽系で作られた有機物を壊れないように運ぶ特殊な構造を持つことを、海洋研究開発機構などの研究チームが発見した。地球生命の起源を探る新たな材料となりそうだ。英専門誌に16日、論文が掲載された。
チームは大型放射光施設スプリング8(兵庫県佐用町)などを使い砂粒の試料を分析。含水ケイ酸塩という鉱物の粗い粒が集まった構造が点在し、そこに多くの有機物が含まれていることを発見した。
構成する元素の解析結果から、リュウグウのもとになる天体が原始太陽系の端で生まれ、中心部へ移動する際に主成分の氷が解けて水が生じ、鉱物と反応してできた構造とみている。
有機物には、温度が30度以上になると分解するものも含まれていたことから、この粗い粒状の構造が、有機物を高温や極端な環境変化から守るゆりかごの役割を果たしたと結論づけた。
海洋機構の伊藤元雄・主任研究員は「リュウグウのような太陽系の外縁部が起源の小惑星が、地球に有機物や水を供給した可能性が一層高まった」と話した。