中小企業の連携で脱炭素化を推進―。こんな取り組みに老舗印刷会社の大川印刷(横浜市戸塚区)とシューマイで有名な崎陽軒(きようけん、同西区)が乗り出した。
大川印刷は長年、崎陽軒の主力商品「昔ながらのシウマイ」の包装紙と「シウマイ弁当」の掛け紙の印刷を請け負ってきた。この印刷では年間約1050キロのインキを使う。今回の取り組みは、インキ製造工程や輸送で排出する二酸化炭素(CO2)を、他社のCO2削減分を購入して相殺する「カーボンオフセット」を使い実質ゼロにするもの。大川印刷は、今月から包装紙と掛け紙の印刷にカーボンオフセットを取り入れたインキの使用を始めた。
インキは東京インキが製造する。東京インキが青森県上北森林組合(青森県七戸町)の製材工場のボイラー更新事業に伴うCO2削減分を購入することでカーボンオフセットを実現した。
大川印刷は今年5月、特殊インキなどに強みのある成東(じょうとう)インキ製造(東京都世田谷区)と連携し、成東インキがカーボンオフセットしたインキの使用も始めている。今回のカーボンオフセットした東京インキからの調達分も含めると、大川印刷で使用するインキ全量の58%がCO2排出量を実質ゼロ化したことになるという。
同社は令和3年に創業140周年を迎えた老舗の印刷会社だ。これまでも印刷関連業界団体、日本印刷産業連合会が定めた環境配慮型工場を認定する制度「グリーンプリンティング」を取得したり、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に取り組んだりするなど、環境保全に力を入れてきた。(青山博美)