高校ダンス部選手権

バブリーダンス…大会を彩った「渾身の伝説」

日本高校ダンス部選手権は、全出場校57チームのうち決勝に残ったビッグクラス、スモールクラスそれぞれ10チームがしのぎを削った平成20年の第1回近畿大会から、歴史が始まった。

頂点を目指す高校生ダンサーの戦いは年々激しさを増し、出場校は毎年過去最多を更新。今年は第1回大会の10倍を超える計608チームがエントリーした。ハイレベルなテクニックや振り付けだけではなく、ユニークな衣装やオリジナリティーあふれる構成は多くの人を魅了し、全てをかけて挑む高校生ダンサーの姿は、大会を超えた感動を生んできた。

もっとも注目を集めたのは、第10回大会(29年)で準優勝だった登美丘(大阪)の「バブリーダンス」だ。第8回大会(27年)ではレオタード姿でエアロビクス風の振り付けを取り入れた「ヒーロー」を、第9回大会(28年)ではヒョウ柄やスパンコールなど派手な衣装に身を包み「大阪のおばちゃん」をテーマにし、ビッグクラス2連覇を果たしていた。

荻野目洋子さんのヒット曲「ダンシング・ヒーロー」に合わせ、高校生ダンサーたちがバブル時代を思い起こさせるボディコン衣装でキレのある息の合ったダンスを披露した。大会終了後に公開された動画はわずか3カ月で2500万回再生を記録し、その年の大みそかにはNHK紅白歌合戦に出場を果たすなど、一世を風靡(ふうび)した。

ヒップホップやロックダンス、ワッキング、ポップダンス、ブレイクダンスなど、さまざまなジャンルがある中で、近年、ビッグクラスの上位を占めているのが、創作ダンスだ。

第12回大会(令和元年)のビッグクラスで優勝した帝塚山学院(大阪)は芸術家、岡本太郎さんの壁画「明日の神話」をテーマに踊った。原爆が炸裂(さくれつ)する瞬間を描いたとされ、34人の部員がステージいっぱいに広がり、赤い布を振り回して、燃え上がる炎を表現。重厚でストーリー性のあるダンスで会場を圧倒し、初の栄冠に輝いた。

スモールクラスでは、箕面(大阪)をはじめ、ロックダンスの強豪校が多い中で、昨年優勝した初芝立命館(大阪)は、マドンナのヒット曲に合わせ、サングラスにスカーフ姿で登場。ファッション雑誌のモデルのように「ヴォーギング」を披露するなど、意外性で魅了した。演技のコンセプトは「女の子はとにかく楽しみたいの!」。ピンク色のスカートを揺らし、コミカルな動きも取り入れ、クールに、ファンキーに演じてみせた。

また、初の全国大会となった第4回大会(平成23年)のスモールクラスで優勝した北九州市立(福岡)はこれまでの優勝校の中で唯一、ブレイクダンスで優勝を果たしている。倒立などアクロバティックな技を取り入れたダンスで会場を沸かせた。

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