ホテル稼働率9割、百貨店売上高3倍 懸念は物価高

大勢の人が行き交うようになった大阪・ミナミの繁華街=7月30日午後、大阪市中央区(門井聡撮影)
大勢の人が行き交うようになった大阪・ミナミの繁華街=7月30日午後、大阪市中央区(門井聡撮影)

令和4年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は新型コロナウイルス禍前の水準を取り戻した。関西でもホテルや百貨店、鉄道などの利用客が戻り始め、消費が回復。企業は業績が改善し、設備投資に前向きになってきた。今後の心配は資源高や物価高、コロナの感染再拡大だ。経済の本格回復に向けては、インバウンド(訪日外国人客)再拡大への政府のテコ入れなどもカギとなる。

「(感染『第7波』でも)行動制限がなく、平日は出張客も増えている」。大阪・ミナミにあるホテルの関係者はこう語る。

ホテルグランヴィア大阪(大阪市北区)は4~6月の客室稼働率が前年同期比44・2ポイント増の86・1%。館内レストランの客数も約8割増と大幅に改善した。

街には消費者が戻り始めており、関西の大手百貨店は、5月の売り上げが前年同月比約3倍を記録した。4~6月期決算が増収増益だった関西の大手私鉄関係者は「鉄道利用者が積極的にオフィスに出勤するなどしたようだ」と推測する。

企業の事業環境も良くなりつつある。パナソニックホールディングスの梅田博和・最高財務責任者(CFO)は7月28日の決算会見で「事業環境は6月に大きく改善し、長らく低調だった業績も5月を底に改善へと転じたとみている」と指摘した。

設備投資への意欲も強くなっており、日本政策投資銀行関西支店がまとめた近畿2府4県の4年度設備投資計画によると、全ての産業で前年度実績比26・9%増の1兆2301億円となり、4年ぶりに増える見通しとなった。

ただ、江崎グリコの高橋真一・常務執行役員は今月4日の決算会見で、「乳製品や油脂、小麦などの価格が上昇している。輸入製品は円安によっても上がっているうえ、エネルギー価格も高騰し、利益面で国内の状況は厳しいものがある」と懸念を示し、コスト削減などで原材料高に対応できなければ、値上げも含めて検討する考えを示した。値上げが広がれば、消費者の財布のひもが再び締まることになりかねない。

りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「4~6月期は1~3月期に落ち込んだ分のリバウンドにすぎず、中身は力強さに欠けている」と厳しく指摘する。物価上昇のペースに賃金の伸びが追いつかず、物価の影響を加味した実質賃金の低下もみられるとする。

経済回復は楽観視できないという。「物価上昇が収まる気配はなく、インフレによる世界景気悪化の懸念も強まっている」(荒木氏)。回復に向けては、脱炭素に絡む企業の設備投資に対する政府の支援や補助が有効との見方を示し、「特に(コロナ前にインバウンドの恩恵を強く受けていた)関西は、コロナ禍で制限があった、政府のインバウンド施策の見直しも重要になる」と語った。

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