半導体不足は解消に向かうも、「複雑なサプライチェーン」が新たな“壁”になる

ハイエンドの消費者向け半導体を生産するほかのメーカーも、受注が枯渇し始めると予想している。インテルは2022年6月、売上減少の見通しを理由にデスクトップPCとノートPC用の半導体を生産するグループで雇用を凍結すると発表した。

また先週の報道によると、韓国のメモリーメーカーのSKハイニックスは、消費者需要の軟化を理由に23年の設備投資を3分の1に削減することを検討しているという。

一部の半導体の価格は、この需要の低下基調を反映している。台湾の市場調査会社TrendForceによると、例えばDRAMの価格は4月から7月にかけて10.6%下落した。またある分析によると、ゲーミングPCや暗号通貨のマイニング、人工知能(AI)の処理などに必要なGPUの価格は、過去1カ月でおよそ17%下落したという。ガートナーも半導体の収益成長率について、21年の25%に対して22年はおよそ13%になると4月に予測している。

だが、状況の好転は決して一様ではない。Everstreamのデータによると、医療機器や通信、サイバーセキュリティシステムに必要な一部の最先端の半導体のリードタイムは、以前の平均27週間から約52週間に延びている。

自動車分野が“例外”となる理由

パンデミックで多大な影響を受けた自動車メーカーは、当初は部品の発注をキャンセルしていた。このため、その後の需要の高まりによって不意打ちを食らい、増産体制に戻ろうとしたときには予備の在庫をもっておらず、交渉力もほとんどない状態になってしまった。

最新のクルマには数千個の半導体が搭載されていることもあり、将来的にはより高度な車載ソフトウェアや自動運転機能のおかげで、さらに強大なコンピューティングパワーをもつことになる可能性が高い。

「自動車向けの半導体や自動車向けの生産能力と競合するものは、まだすべてが大きな制約を受けています」と、プリント基板やケーブルなどの電子製品メーカーであるMasterWorks Electronicsでグローバルサプライ管理担当ディレクターを務めるジェフ・コールドウェルは言う。自動車メーカーに運行管理ソフトを販売しているActifyのCEOのデイヴ・オプサールは、自動車メーカーにとっては半導体の供給は改善されておらず、樹脂や鉄鋼などの原材料や労働力の不足も深刻化していると指摘する。

メーカーのために電子部品の調査・調達・試験を手がけているA2 GlobalのCEOのフランク・カバラロは、現在の状況は半導体市場とサプライチェーンの複雑さを反映していると語る。多くの最終製品には世界中から調達された多数の半導体が含まれており、機器類は主に中国企業による組み立てが必要になる。「マクロでありミクロであり、個々の地域に依存しているのです」と、カバラロは言う。

Everstreamのガーデマンは、新型コロナウイルスの新たな変異株である「BA5」が中国で広まったことで、半導体やその他の製品の生産に支障をきたす可能性のある厳格なロックダウンの懸念が高まったと指摘する。また、将来の生産能力に関する不確実性や、半導体の輸出に関する地政学的な制約が、先の計画を立てにくい状況にしているという。

会員限定記事会員サービス詳細