朝晴れエッセー

発表会を前に・8月14日

フラダンスの舞台を間近で見たのは地区の文化祭であった。笑顔も衣装も美しい。顔見知りはいないかと見回すと高齢らしい方が目にとまった。腰か膝の具合が悪いような動きである。しかし参加することに意義があると示しているようなその方の精いっぱいの踊りが心に残った。

私は腰の手術後であり、リハビリと認知症予防のため何か楽しいものを習いたいと考えていた矢先であった。

以来、コロナに翻弄されながらも4年目の今、フラダンスの合同発表会に向かって練習を重ねている私がいる。その間、加齢とともに体の異変もあり膝の手術も受けた。覚えも悪く振り付けはむつかしく、これで舞台に立てるだろうかと何度も不安がよぎった。弱音を口にしたこともあった。

が、娘のような先輩たちに励まされ助けられ、夫の後押し、入会のきっかけとなったあの方を思い出し、また、先生の優しいお声かけに心も体もほぐれたようで、光が見えてきた。

入会時の日記に「元気であれば数年で米寿、祝いの席でよろめかずそれなりの踊りを披露している自分を想像してみる。そこには95歳になる健やかな夫の姿も見える」と、ほのかな夢をつづっている。無理をせず努力を続け、笑顔で舞台に立てるよう、米寿の記念を自分で祝えるよう今はがんばるのみである。

夫が30分の散歩に出ると私は鏡の前に立ち姿勢を正し練習を始める。初心の思いが実現しそうな10月2日が、日一日と近づいてくる。

上原朝子(87) 高松市

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