課題山積のポスト黒田 政策正常化は波乱含み

日本銀行本店=東京都中央区(川口良介撮影)
日本銀行本店=東京都中央区(川口良介撮影)

日本銀行を取り巻く環境は総裁が交代する来春に向けて、一段と厳しさを増しそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに転じる可能性があるためだ。不確実性が高まる中、「ポスト黒田」の課題は大きく2つに集約される。

一つは金融緩和の枠組みの見直しだ。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフ・エコノミストは「市場の機能が適切に発動される道筋をつけることが最大の責務だ」と訴える。特に長期金利を0%程度に誘導する目標をめぐっては、6月にヘッジファンドが大量の日本国債売りを仕掛け、日銀が設定する金利の上限を超える事態が発生。「市場参加者が(緩和の)『出口』を意識すると持続性が低下する」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジスト)弊害が露見した。

もう一つは政府の財政運営との関係だ。内閣改造後も高市早苗氏ら自民党内の積極財政派が要職についたが、日銀による国債の大量購入には財政を支援する「財政ファイナンス」の懸念があり、根拠となってきた政府との共同声明の改定の必要性を指摘する声もある。ソニーフィナンシャルグループの菅野雅明チーフエコノミストは「日銀としての意見表明」を求める。

ただ、ポスト黒田の金融政策の正常化への歩みはゆっくりしたものになりそうだ。米国の景気後退入りが濃厚となり、FRBが来年利下げに転じるとの観測が浮上。円高進行など市場混乱への警戒から、日銀に対する政策修正圧力は鳴りを潜めつつある。

一方、〝日銀界隈(かいわい)〟では早くもポスト黒田の次への関心が高まりつつある。定石通りなら、再び財務省出身者など外部の人間が指名され、政策の揺り戻しが起きるリスクがあるためだ。

野村総合研究所の木内登英(たかひで)エグゼクティブ・エコノミストは「政権次第で、再び緩和積極派の総裁が指名される可能性がある。日銀の事務方は次の5年間で正常化の道筋をつけたいと考えているのではないか」との見解を示す。

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