浪速風

迎え火をたいて

実は、わが家で「迎え火」をたいた記憶がない。だが、方向音痴だった母の新盆には目印が必要ではないかと、「お盆の迎え火・送り火セット」なるものを購入した。直径10センチほどの小皿に2回分の火種とマッチが付いており、皿の中で5分以内で燃え尽きるという。きょう、玄関先でたいてみるつもりだ

▶仏教行事の「盂蘭盆(うらぼん)会」が由来の一つとされるお盆は、先祖や亡くなった人の精霊を迎え、歓待する行事だ。盆棚を作ったり、精霊馬を飾る風習が遠くなっても、亡き人をしのぶ心は受け継がれているのではないだろうか

▶盆花の代表とされる花は、7~9月に赤紫のかれんな花を咲かせるミソハギ。精霊棚や迎え火に水を掛けるのに使う地域もあるといい、「禊(みそぎ)の萩」だからミソハギ、との説もある。小林一茶が〈みそはぎや水につければ風の吹く〉と詠んだのは、亡き妻の新盆という。風となって帰ってきた妻と、一茶は何を語ったのだろう。

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