朝晴れエッセー

お盆に・8月13日

母は7年前の「母の日」に92歳で空へ昇っていった。当時、三十余年続けた塾講師を退いたものの請われて、受験まであと1年間、数名の受験生の家庭教師を始めていた私。最期の1カ月余りは妹と交代で病院に泊まり込んだ。

家庭教師の仕事を続けられたのも、妹が時間を譲ってくれたおかげ。妹がいて本当によかったと痛感している。介護は十分ではなかったかもしれないものの、悔いは残っていない。

結婚後、家を継いで66年を母と暮らした。55歳で夫が他界して以来、12年間は母と2人っきりになった。実の母娘ゆえのきしみもあり、嫁に行った妹がうらやましかった。「なんで私だけ」と「跡継ぎ」としての立場を恨んだこともある。でも、妹は分かってくれていて、随分助けられた。しかし、たった1人の妹は闘病の末、3年前、68歳で他界した。

父も含め19年間で4人を見送った。その魂の存在を感じながら、姿を変えて見守っていてくれると素直に思える日々がいとおしい。

常に競争を強いられた私たち「団塊世代」は、もはや走る必要はない。ゆっくりマイペースで歩けばいい。人生後半で手にした「ご褒美」に心ときめく。

「お盆」に、1年ぶりに再会する故人の魂に笑顔で「おかえりなさい」と言える自分でありたい。中学生と高校生の、たった2人の孫とともに迎えに行きますからね。


細川江美子(73) 和歌山市

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